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「2024年、トランプが大統領として返り咲く」いま誰が復帰を望み、暴力と分断を加速させているのか?=高島康司

「トランプこそ白人の権利を回復する大統領である」

さらにシカゴ大学の研究チームの調査では、トランプを大統領に戻すために暴力の使用を支持した2,100万人の約3分の2が、「アフリカ系アメリカ人やヒスパニック系アメリカ人は、いずれ白人よりも多くの権利を持つようになる」という見方を支持していた。

これを見ると分かるが、いまのコアなトランプ支持者の多くは、黒人やヒスパニック系などのマイノリティーが優遇されて多くの権利を持つようになった結果、反対にマジョリティーの白人の権利が奪われ、抑圧されていると感じている白人の中流層だ。

そのため、トランプこそ白人の権利を回復する大統領であるとして、トランプを支持している。このように、トランプ支持の理由は経済的なものというよりも、白人の権利回復というイデオロギー的なものである。

トランプの大統領復帰へ「暴力の使用も止むなし」

しかしやはり驚くべきは、トランプを大統領に戻すためには暴力の使用も止むなしと考えている人々が少なくとも2,100万人、もしかするとそれを越える12%、3,100万人もいるという事実だ。

この記事では調査を行ったシカゴ大学の研究者の発言として、北アイルランドの内戦との類似性を指摘している。

北アイルランドでは、1968年から98年までの30年間、熾烈な内戦が戦われた。北アイルランドのイギリス帰属をめぐって、対立する少数派のカトリックと多数派のプロテスタントが、それぞれ「IRA」と「アルスター義勇軍」の武装集団を組織し衝突した内戦だった。

アメリカの成人人口の8%から12%がトランプ復帰のために暴力を支持しているという現状は、北アイルランド内戦の始まる直前の状況に類似しているというのだ。

内戦が始まった1968年、北アイルランドのカトリック教徒の13%が、アイルランドのナショナリズムのための武力行使が正当化されると答えていた。その直後、わずか数百人のメンバーで暫定「IRA」が設立された。その後、30年にもわたる血なまぐさい暴力が続いた。13%の支持率は、内戦を開始するには十分すぎるほどの支持率だった。

シカゴ大学の研究者は、少なくとも2,100万人から3,100万人はいる暴力革命の支持者は、ちょっとした火種があれば、実際に発火する可能性のあるカラカラに乾いた木の塊のような存在だとしている。

この記事では、1月6日に議会議事堂に集合したケンタッキー州出身の元沿岸警備隊員の発言を、トランプ支持派の怒りを反映する象徴的な発言として紹介している。

私は国のために戦います。神よ、私たちは内戦に向かっていると思います。内戦が止まるとは思えない。私は本当にそう思います。犯罪者たち、つまりナンシー・ ペロシとその犯罪組織が、内戦を強要しているのだと思います。憲法を愛し、憲法を守るために命を捧げる人々に、民主党は彼らに対して武器を取ることを強要している。

これはまさに、憲法を破壊する民主党の策謀から神聖なアメリカを守るためには、武器を手に取り戦うことも避けられないという気持ちだ。

では、このような乾き切った木のような怒りの感情に着火する火種となるものはなんなのだろうか?

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