2022年はコロナ終息が世界の大きなテーマとなり、波乱相場が予想されます。今回は経済正常化に向けたFRBの金融政策3点セットの進捗・シナリオを含め、私なりに熟考した2022年型のベストなポートフォリオを発表します。今年はどう資産を振り分けるべきか、一例として参考になさってください。(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)
株式会社銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。
波乱が見えている2022年の株式市場
新型コロナウィルスの確認から3年目に入り、今年はコロナ終息が世界経済の焦点になると思います。
景気は本格的な回復期に入るでしょう。通常、景気の回復は株価にとってプラスですが、今年に関しては、波乱の要因になりかねません。
なぜなら世界の中央銀行とも言えるFRBが、コロナ後にずっと続けてきた緩和政策をお終いにし、今年は金融引き締めモードに入るからです。
2022年は景気回復によって起きる株価の上昇と、金融引き締めによって起きる株価の下落が交差し、世界的に株価の変動が激しい1年になると思います。
今年の鍵になりそうな問題を3つほど挙げて、それぞれ少しずつ考えてみたいと思います。
シナリオその1:2022年後半にはコロナは終息する
僕は医学のことをよく知りませんが、「新種のウィルスは徐々に感染力を高めながらも、毒性を弱めてゆく」という原則に、今回のコロナも沿っているように思います。
万一手に負えないような変異を見せたとしても、4か月ほどでワクチンが出荷できるとすれば、少なくとも最初にコロナが見つかった2020年のような大きな経済混乱に至ることはないはずです。
むしろ標準的なシナリオとして、年後半にかけては徐々に世界的な終息傾向と見ておくべきではないでしょうか。
そのような前提に立てばどうでしょう。世界は年の前半にオミクロン・ショックを脱し、その後は徐々に回復力を強めてゆくという見立てでいいと思います。
ただし経済の回復は良いことばかりではありません、以下のような懸念が高まってくると思います。
シナリオその2:2022年前半は世界的にインフレ傾向
世界的にはすでにインフレ傾向が強まっており、特にアメリカでは7.0%(※1月12日発表された2021年12月実績)と39年ぶりの高水準です。
日本も久々にインフレっぽくなってきました。足元の物価上昇率は0.5%(※2021年11月分、生鮮食品除くコア指数)ですが、昨年春にあった携帯電話の利用料金引き下げ分(1.5%)が足を引っ張っています。つまり、春を超えれば自動的に1.5%上がるということです。
他にユーロ圏(4.9%)、イギリス(5.1%)など、足元では軒並みインフレ進行中です。
そこにもってきて、上記のように世界経済が本格的に回復すれば、いったいどうなるのでしょうか。
足元の物価上昇は需要の増加に加え、コロナによる物流の混雑という特殊要因もありますが、それを加味しても今年の特に前半は、インフレ傾向が強く出ると思います。
世界的に進むインフレによって、日米欧の中銀は金融引き締めモードを強めることになるでしょう。