為替は2021年と変わらず円安傾向
ここでは特にドル円相場について考えてみたいと思います。
長期的にみれば、このメルマガでたびたび触れてきたように、円安は止まらないと僕は思います。言い換えれば日本の相対的な貧困化は、今後もジワジワ進むということです。
ただし、これはあくまで長期的な見通しです。来年のドル円相場を考える場合、日米の金利差をどう読むかが焦点になるでしょう。
すでに触れましたように、FRBは今年3~4回の利上げをする見通しです。これに対し、日銀はどうでしょう。
日本にいても最近は物価の上昇を感じることが多くなってきました。小麦製品やガソリン、食用油など日常生活に欠かせないものの価格は目立って上がっています。
ただし消費者物価全体をみれば、決してインフレが進んでいるとは言えず、足元では+0.6%(全国消費者物価指数)に過ぎません。アメリカの7.0%に比べると小さな数字です。
日銀が設定しているインフレ目標2%にはまだだいぶ距離があり、当面ゼロ金利政策を続けざるを得ないでしょう。
つまりアメリカは3~4回の利上げに対し、日本は依然ゼロ金利を続ける可能性が高いということです。
このようなことから来年のドル円相場は長期的にみても短期的に見ても、円安方向に進むとみておくべきだと思います。
特定の数字を意識しているわけではありませんが、1つの目安として1ドル=120円あたりがあっても僕は驚きません。
現物資産のコインは現状維持
2020年のコロナ・ショック以降、先進国の中央銀行は大量のお札をばらまきましたが、今年は転換の年になるでしょう。
アメリカはすでにバラマキの速度を下げていますし、3月には蛇口を完全に閉める見通しです。日欧はそこまで行きませんが、それでも徐々にバラマキの量は減る方向です。
世界経済に最も大きな影響を与えるのはアメリカです。FRBの過去の政策を振り返りますと、リーマン・ショック直後の2009年から急速にバランスシート(資産規模)を拡大し5年にわたりドル札を市場にバラまきました。その後2014年1月から徐々にその量を減らし、2014年10月にテーパリングを終えていますが、バランスシートの規模が縮小し始めたのは2018年に入ってからです。FRBはその後、コロナショック直前の2019年末までバランスシートの縮小(量的縮小)を続けていますが、その間たったの15%しかFRBのバランスシートは小さくなっていません。
でも、今回は少し状況が違います。FRBが「流動性の吸収」をしたら、FRBはなにより足元で急速に進むインフレに対処しなくてはなりません。
現状では確定しているわけではありませんが、場合によって上記のようにFRBは以下「3つの手札」を今年は切ってくるかもしれません。
・テーパリング
・3-4回の利上げ
・流動性の吸収
実物資産にとって特に問題になるのは、3つ目の「流動性の吸収」です。
ここ数年、実物資産が順調に値を上げてきたのは、FRB等によって供給されたマネーの流入があったのは間違いありません。仮にFRBがそのマネーを吸収するなら、実物資産にとってマイナスです。
では、上記の見立てで、今年の実物資産相場を予想するとどうなるのでしょう。
まず現物資産は過去2年のようには急騰しないと思います、一方で、相場が下落するかといえば、それもないと思います。
上記で僕は2018年から2019年にかけ市場に滞留するドル紙幣は15%ほど減ったと紹介しましたが、コインの相場はこの間、逆に上がり続けています。おそらくは15%程度の減少では、コイン相場は影響を受けないのかもしれません。
それよりむしろ上げの勢い、例えば富の一極集中や先進国の財政不安といった、コイン相場の上昇を支援する要因の方が勝ったのかもしれません。