イギリスを訪れていた岸田首相が、ロンドンの金融街・シティーで行われた講演で発言した「資産所得倍増プラン」が、日本国内で大いに物議を醸している。
報道によると、岸田首相は自らが掲げる「新しい資本主義」を説明するとともに、半分以上が現金や預貯金とされる約2,000兆円の個人資産を投資に振り向けるようにするという「資産所得倍増プラン」を披露したとのこと。
上記プランの実現のために、NISAの利用者拡大など政策を総動員すると強調した岸田首相は、「Invest in Kishida(岸田に投資を)」と呼びかけたという。
国内からは猛批判、海外では無反応
今回の講演時には、自身が旧日本長期信用銀行で勤務していた経験にも触れ「戦後の首相で金融業界出身は私が最初だ」と、アピールしていたという岸田首相。
だが、SNS上からは「潰れた銀行じゃねえか」「新卒で5年いただけだろ」などと、さっそく厳しいツッコミが飛び交う事態となっている。
首相「資本主義バージョンアップ」 日本の成長持続訴え: 日本経済新聞 https://t.co/DXWK21hu8o
1980年代に旧日本長期信用銀行(現新生銀行)で勤務した経験に触れ「戦後の首相で金融業界出身は私が最初だ」と紹介潰れた銀行にいた事誇ってどうすんだw
— 馬木猛史(Take Umaちゃん) (@umauma_t) May 6, 2022
「戦後の首相で金融業界出身は私が最初だ」⇒だから何?LTCBで5年勤務しただけだろ。
— sakai (@sakaitatsuhiko) May 6, 2022
実際、岸田政権の発足以降の日本株は下落傾向が続いており、昨年9月から今年1月のたった4か月間で、東証一部の時価総額が100兆円吹き飛んだという話も。
金融課税を巡るドタバタなどが原因で、そんな“岸田ショック”を巻き起こした張本人とあって、投資家からは忌み嫌われ、さらに経済オンチといったレッテルも貼られて久しい岸田首相だけに、今回の資産所得倍増プランに対しても「愚策」「思いつき」「詐欺師」などの声があがるなど、その評価は散々といったところ。
岸田首相が「資産所得倍増プラン」なる愚策をドヤ顔で発表。貧富の差を拡大させるだけの糞プランだ。このボンボン政治家はどこまで一般庶民のことが憎いのか。参院選で自民・公明・維新の与党3党を落選させることで抵抗するしかない。
— さよなら昨日の私 (@SaYoNaRaKiNo) May 5, 2022
思いつきで金融政策を語らないでほしい。岸田さん。株式課税強化とか株主至上主義からの脱却といって相場下げたのはあなただ。そして福利計算で、資産を倍増するには10%の利回りで7年かかる。税金を考えると、20%相場が毎年上がる必要。岸田政権ではそれは実現できない
「資産所得倍増プラン」 https://t.co/poAMlDR8aq— 石井孝明(Ishii Takaaki) (@ishiitakaaki) May 5, 2022
詐欺師ではなく首相から「資産所得倍増プラン」を持ち掛けられました
— 五百旗頭幸男 (@yukioiokibe) May 5, 2022
いっぽう、世界有数の金融街で「Invest in Kishida(岸田に投資を)」とぶち上げてみせただけに、さぞ国外へのインパクトはあったものと思いきや、海外メディアは今回の岸田首相による「資産所得倍増プラン」を、ほとんど報じられていない模様。さらに海外のSNS上でも、まったくと言っていいほど話題となっていないようで、批判多数とはいえ一応はレスポンスがある国内以上に厳しい“無反応”という状況となっているようだ。
ロイター(英語記事)は「Invest in Kishida」という岸田首相が放った決めゼリフを華麗にスルーhttps://t.co/ClQR8gjgne
— 全力米国株 (@komcdspxl) May 5, 2022
「Invest in Kishida」が話題ですが、The Wall Street JournalでKishidaで検索してもそれについて何一つ一切触れられていないことをお知らせ致します。 pic.twitter.com/UbEd5O84LU
— フクロウさん (@Msowl_FUKURO) May 6, 2022
Invest in KISHIDA で検索しても、出て来るのは日本人のアカウントばかりなので、世界的にはスルーされたと見たほうが良さそう。
— 斉藤久典 (@saitohisanori) May 5, 2022
資産無き者はお呼びでない?
日本の首相による世界の金融街での講演といえば、あの安倍晋三元首相が2013年に米ニューヨークのウォール街で「Buy my Abenomics(アベノミクスは買いだ)」とぶったことも、今回のことで一部から引き合いに出されているが、この手の発言は海外向けのアピールもさることながら、国内向けのインパクトも大いに計算しているというのは言うまでもないところ。
ただ、今回の「Invest in Kishida」発言に対して、国内投資家から反応が非常に冷ややかなのは先述した通りだが、さらにそれ以上に切実な叫びとしてあがっているのが「倍増させる資産がない」といった声だ。
資産を持ってる人の資産所得を増やす話にしかならず、資産がない大多数の層には何の恩恵もない。
岸田首相、「資産所得倍増プラン」を表明 貯蓄から投資へ誘導 | 毎日新聞 https://t.co/xmD2GPkF8q
— 馬の眼🐴 (@ishtarist) May 6, 2022
「個人投資家向けの優遇税制『NISA』の抜本的拡充や国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など『資産所得倍増プラン』を進める方針を明らかにしました」
はい、センセー。運用する資産がないんですけどー。('ω')ノ
https://t.co/4vSgr8oVEw— けいすけ (@mt_ksk) May 5, 2022
要は所得倍増ではなく“資産所得倍増”だけに、資産が無い者はお呼びでないとも言える今回のプラン。資産“ゼロ”を倍増しても“ゼロ”のままということで、すでに金融資産を持つ者はますます富むいっぽうで、持たざる者は何時まで経ってもゼロのまま。そうなれば、これまで以上に貧富の差が拡大することは必至……という声も、SNS上には多くあがっている状況だ。
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