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「正露丸の会社」を謳うサプリ広告が物議。クレベリン騒動で業績悪化…弱り目に祟り目の大幸薬品には「ウクライナで正露丸を売れば」と同情の声

「正露丸の会社が手掛けた」といったキャッチコピーで大々的に広告を流しているダイエットサプリの存在が、ここに来て物議を醸しているようだ。

今春あたりからYouTubeやTwitterなどで多く見られるようになった、これらの広告。正露丸と言われれば、昔からテレビなどでCMが流れているラッパのマークの正露丸、つまり大幸薬品のことを連想する方が多いと思われるが、このダイエットサプリは大幸薬品の商品ではなく、明治薬品という会社の商品だという。

ところが、このダイエットサプリに関して、消費者からの問い合わせが大幸薬品のほうに多く行っている模様。これを受けて大幸薬品は、今月1日にリリースを発表。「当該商品は、他社様の商品でございまして、弊社の製造及び販売商品でなく、お取り扱いも致しておりません。弊社ではご質問にはお答えいたしかねます。」と呼びかける事態となっているというのだ。

大幸薬品以外からも発売されている「正露丸」

今回取沙汰されている明治薬品という会社だが、会社概要を見てみると創業は1948年で、現在は都内に本社を、また富山市内には複数の工場を構えるいっぽう、昨年8月にファーマフーズの完全子会社になったと記されている。

ちなみに富山県内に本社を構える明治製薬株式会社、さらには食品メーカー大手の明治や製薬会社のMeiji Seika ファルマを傘下に持つ明治ホールディングスなどとは、歴史的にも資本的にもまったくの無関係のようだ。

そんな明治薬品が、広告で前面に押し出している「正露丸の会社」というキャッチコピーだが、これはあながち間違いではなく、現に同社からも「正露丸」の名を冠する商品が販売されている。

そのパッケージはデザインから色合い、さらに製品名の書体など、大幸薬品のものとかなり似通っているが、トレードマークは大幸薬品のようなラッパのマークではなく、菱形に“明”という文字をかたどった独自のものを使用しているようだ。

というのも、明治時代からの長い歴史を持つ正露丸は、もとは大幸薬品が名称の独占的使用権を主張し、商標登録を行っていたのだが、1970年代にあった裁判で、正露丸という語がクレオソートを主材とした整腸剤の一般的な名称として国民に認識されていると判断されたことで、商標登録が無効になったのだという。

このように正露丸という名称が普通名称化したとみなされたことで、それ以降は大幸薬品以外の製薬会社も、クレオソートを主成分とした胃腸薬を「正露丸」という名前で販売することが相次ぐことに。ちなみに明治薬品の「正露丸」に関しても、1972年より販売を開始したということである。

こういった経緯から、明治薬品が「正露丸の会社」と自称することに関しては、法的にはとりたてて問題はないようなのだが、とはいえ広告を見た人々からは、大幸薬品との誤認を意図しているのは明らかなのでは……という声が多く、事情を知らない人々を釣る気で満々だと訝しむ視線が集中しているというのだ。

クレベリン騒動の影響で業績悪化の大幸薬品

いっぽうで、今回の件に関してはとんだ巻き込み事故に遭うような格好となっている大幸薬品。1970年代に正露丸の商標登録が無効になった以降も、同社は類似商品に対してパッケージの使用差し止めなどを求める裁判を起こしていたようだが、2014年10月の上告審では「類似商品にはラッパのマークがない」などの理由で上告を退けられ、敗訴となっている。

しかも最近の大幸薬品といえば、「空間除菌」を謳いコロナ禍において売り上げを大いに伸ばしていた「クレベリン」が、消費者庁との係争などのすったもんだの末に「空間のウイルス除去という広告表示に根拠なし」と認定され、全製品が措置命令を受けることに。

この一連の騒動で、商品の返品がかなり発生したとのことで、2022年1~3月期連結決算では、17億円の最終赤字を計上。先月末には、社員の1割強にあたる30人程度の希望退職を募る事態に陥るなど、業績が急激に悪化しているというのだ。

振り返れば、クレベリンを巡る消費者庁との争いがしきりに報じられていた際には、「エセ科学」「インチキ商品」などと、厳しい意見が多く寄せられていた大幸薬品。

ところが、業績悪化のうえに自社とは一切関わりのない商品の問い合わせが殺到するという、まさに弱り目に祟り目といった現状には対しては、少なからず同情の声も。なかには「征露丸に名前を戻してウクライナに輸出すれば業績上がるかも…」といった、業績挽回の秘策まで取沙汰されている、そんな状況のようだ。

Next: 「どう思われようが情弱釣れればヨシ」

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