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東京都小学校PTA、全国組織から退会する動き。全国の児童・生徒から集金し“上納”される縦組織システムの存在に驚きの声多数もその瓦解は目前か?

東京都小学校PTA協議会が、全国組織である日本PTA全国協議会からの退会を検討していると報じられ、大きな波紋が広がっている。

東京都小学校PTA協議会は、都内にある一部の公立小190校のPTAからなる組織で、会員は児童数ベースで約9万人有するとのこと。日本PTA全国協議会に対しては、会費の有効活用などの面で不満があり、加入するメリットがないと判断したようだ。

東京都小学校PTA協議会は、5月に行われた理事会で、退会に向けた協議を始めることを賛成多数で決議。今後、18日に予定されている総会で賛否をはかり、その後再度開かれる理事会を経て最終決定するという。

京都市でも取沙汰されていた“退会”議論

報道によると、日本PTA全国協議会から加盟団体が直接退会した例はこれまでないとのことで、もしも今回の退会が本決まりとなれば、ある意味で画期的な出来事だといえそう。

また、SNS上からは「PTAにそんな上部組織があったのか」といった反応も多数。しかも、その日本PTA全国協議会へ、各学校のPTAから市町村単位や都道府県単位のPTA組織を通じて、児童生徒1人につき10円、合計で約8000万円もの会費が“上納”されているというシステムが出来上がっていることも、今回の件を通じて改めて知ったという向きも多いようで「これって意味があるの?」といった声も多くあがっている。

いっぽうで、今回の東京都小学校PTA協議会による“退会”への動きに、一定の影響を与えたのではと指摘されているのが、今年3月頃から取沙汰されていた京都市PTA連絡協議会による、日本PTA全国協議会からの退会話である。

京都市PTA連絡協議会の会長を務めている人物は、地元紙の取材に対し日本PTA全国協議会が抱える課題として、先述した負担金上納システムが保護者からの理解を得づらいという点にくわえ、国への要望内容が一部役員の意向だけで決められている点、さらに全国持ち回りで開催される全国大会が、地元PTA組織にとって人的にも金銭的にも重い負担となっていることなどを挙げていたようだ。

さらに活動の見直しを求めても変化の兆しが見られないという、組織の旧態依然ぶりにも業を煮やし、京都市PTA連絡協議会としてはそんな状況に一石を投じる意図も込めつつ、日本PTA全国協議会からの退会手続きを進めようとしたようだが、5月に行われた理事会での投票で賛成少数で否決となったという。

こうした日本PTA全国協議会に対する不満だが、先の京都市のみならず、今回は東京都のPTAでも退会への検討が始まったことをみても、全国のPTA組織において同様に燻っているものと考えられそう。それだけに京都や東京以外のPTA組織からも、今後退会の動きが続々と起こってもおかしくはなさそうな情勢だ。

各地で相次ぐPTA解散…保護者の負担が減ったという声も

第二次世界大戦後にGHQの働きかけによって、全国各地の学校に誕生したと言われている日本のPTA。本来は任意加入の団体だが、実際のところは大多数のPTAにおいて自動的に加入させられ、活動への従事や会費の負担を強いられる格好となっていることが、古くから問題視されてきた。

だが近年では、夫婦共働きの保護者が以前と比べて増えたことにくわえ、さらにPTA活動に関わることでかなりの時間や労力を費やされ、また人間関係の面でも煩わしいことが多いという評判が固定化したことで、役員や委員のなり手が本当に少なくなっており、活動が立ち行かなくなっているというケースも多くなっている模様だ。

さらにコロナ禍によって、この2~3年はその活動がかなり制限されているということもあり、各学校レベルのPTAのなかには解散するという決断をしたところもチラホラと出てきている。

例えば長野市内の山あいにあるとある小中学校でも、先日県内で初めてPTAを解散し、学校への新たな関わり方について今後具体的な活動方針を詰めていく予定だと報じられているが、ちなみに役員を務める方の話によると、それまで市の中心部まで約1時間かけて出席していた市PTA連合会の会合出席がなくなったことで、以前よりも負担が減ったということだ。

このように、その末端はすでに機能不全といったところも多いうえに、さらに市町村や都道府県単位の組織からも、離脱の声が相次いでいる日本PTA全国協議会。現状に即したPTAの在り方を見定めたうえで、それに応じた組織に変えていく動きがなければ、早晩瓦解することも大いに考えられそうだ。

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