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日本は“老衰の30年”へ向かうのか?賃金と物価の上昇のスパイラルが起きない活力を失った社会の悲惨な末路=山崎和邦

“躍進の30年”となるのか“老衰の30年”となるのか?瀬戸際の日本

現在は、今後の30年を“躍進の30年”にするのか、“老衰の30年”にするのか、その境目であろう。

1973年秋に起きた第一次オイルショックが、高度成長期の日本をゼロ成長の日本に換えた。第一次オイルショックは、第五次中東戦争に際して、油田を持たないイスラエルに対する経済制裁として起こったものであり、5年間で原油が20倍になった。それをきっかけとして、現に、日本は1955年から18年間続いた高度成長期(7%~15%の成長率を連年続けてきた)から一転して、ゼロ成長時代(1%未満の数値)になり、これを“安定成長”と言い換えた。

安倍政権のアベノミクス時代、株式相場は2.8倍になったが、GDPの平均成長率は1.1倍しかなかった。まさにゼロ成長に近い。

この安倍内閣の期間に消費税を5%から8%、8%から10%と二度引き上げたから、四半期別のGDPがマイナスに陥ったことが二度あった。そういう期間をはさんでのアベノミクス時代ではあったが、日経平均が2.8倍になる間に、GDPの年平均は1.1%しか伸びなかった。

そこへ持ってきて、今度のエネルギー危機である。このエネルギー危機が、1979年に起きた危機よりも深刻ではないという理由はない。リーマンショックのような連鎖危機の危険性もある。

第一次オイルショックというのは“いざなぎ景気”の終わりの日経平均2,000円から過剰流動性相場(列島改造相場)を通して、5,300円台までに2.5倍になる期間、それにとどめを刺したことになった。

もっともその2倍半になった大相場は、実際に石油危機が起こった1973年秋よりも7~8ヶ月先に、株価は1973年1月に自律的に下降を始めた。株価の景気先行性である。

そして、その5,300円は、翌年には3,300円まで下がってしまった。この時に官僚出身の福田赳夫は「日本は全治2年の重傷を負った」と言って“重厚長大路線”から“軽薄短小路線”にビジネスモデルを切り替える方針を財界は進めた。

日本は、世界でいち早くその模範を示した。当時の日本はそういう活力があった。第一次オイルショックという未曾有の事態に対して、それを好機として次のステップにしたのだ。

国力という観点から1945年からの80年間を見れば

「復興の10年 (1945年~1955年)」
「成長の30年 (1955年~1985年)」
「爛熟の5年 (1985年~1990年)」
「失われた30年(1990年~2020年)」

となろう。

今後の30年を“躍進の30年”にするのか“老衰の30年”にするのか。現在は、その境目であろう。せめて「成熟の30年」でありたいが…。

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<山崎和邦の投機の流儀 vol.527 7/10号>

第1部:当面の市況
(1)市況コメント─中間反騰と実勢悪相場との狭間
(2)当面の方向の別れ道 
(3)株式市場では、一時的に投資家の不安心理が後退した。
(4)「電力が足りない─安定供給・脱炭素に壁、資源小国に迫る転機」
ヘッジファンド全体を反映する指数、今年1~6月の成績がマイナス5.6%となった。
(5)最低賃金、過去最大幅の上昇
(6)日本株は年内、3000円~4000円幅のレンジのボックス圏で推移するであろう。 
(7)「株価は年後半『3万円』回復」
(8)「インフレから景気後退懸念へ」、副題「一方で資産所得倍増プランに期待」
(9)岸田政権の政策形成に不安

■ 第2部:中長期の見方
(1)長期投資への絶好の買い場を掴むつもりで、市場に対峙していよう。
(2)米FRBが「3倍速度」の利上げの行く先は如何に?
(3)今後の日銀の動き
(4)FRBは景気維持とインフレ抑制のどちらを優先するのか?
(7)果たして躍動的な経済大国に再びなれるのか?─ビジネスマネジメントは「科学ではなくアートだ」
(8)ESG(環境・社会・企業統治)などには一概に賛同できない。なにかウサンクサイ感じがある。
(9)日本で最も成長余地を持っている産業

■ 第3部:株価変動と景気循環との関係

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山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2022年8月7日号)より一部抜粋
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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。

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