創薬ベンチャー・アンジェスは9月7日、新型コロナウイルス感染症向けDNAワクチンの開発を中止する旨を発表。株クラスタを中心に市場がざわつき始めています。期待してアンジェス株を買った個人投資家は、よほど安値ならば行って来いの世界であるものの、高値掴みをした向きはすべからく損を被ったことになります。投資は自己責任とは言うものの、これで幕引きで本当にいいのか?という大きな疑問が残ります。(『 今市的視点 IMAICHI POV 今市的視点 IMAICHI POV 』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市的視点 IMAICHI POV』2022年9月10日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
鳴り物入りで開発が進んだ国産の新型コロナウイルス用ワクチン。しかし…
創薬ベンチャーのアンジェスは9月7日、新型コロナウイルス感染症向けDNAワクチンの開発を中止する旨を発表。株クラスタを中心に市場がざわつき始めています。
もともとは大阪府知事の吉村氏などが2020年内の実用化に言及するなどひどく前のめりで、国産ワクチンの完成が期待され過ぎていました。
それも蓋を開けてみれば、2021年11月には治験の最終段階を断念せざるを得なくなり、今回、正式に開発中止が発表されました。
100年に1度のパンデミックに対するワクチン開発を国内で実現できれば、それに越したことはないという発想はよくわかります。また国もそれに期待して、すでに75億円もの補助金を提供したのでしょう。
※参考:アンジェス、従来型の新型コロナワクチン開発中止 – 日本経済新聞(2022年9月7日配信)
しかしながら、臨床試験では安全性に問題はなかったものの、期待した効果を確認できなかったことから、あえなく開発終了となってしまったわけです。
株クラではやはりこういう結末かと、最初からまったく期待していなかったという厳しい声が聴こえてきます。
そもそもこの創薬ベンチャー、しっかりしたケイパビリティがあって開発していたのか?やっている感だけ醸成していたのでは?という話も聴こえてくる始末。
いかがわしさ満載の状況であることも見えてくる次第です。
ただアンジェス自体はMSワラントで100億円の資金調達に成功
ところがアンジェスは、この2年ほどで新型コロナDNAワクチンの開発の話から株価が高騰。

アンジェス<4563> 週足(SBI証券提供)
国からせしめた補助金とは別に行使価額修正条項付新株予約権、いわゆる「MSワラント」を発行し、100億円規模の資金調達に成功しているというのです。