先行指標から読み解く米雇用統計の展望
それでは、先に発表されている雇用指標の数字を見ながら、今日の展望を考えていきたいと思います。
全体的に堅調な数字が並んでいます。新規失業保険申請件数は依然として歴史的低水準が継続していますし、ADP社の雇用報告に至っては、前回分が+18.5万人増と大幅に上方修正されての数字ですから、見た目以上の強さがあります。
唯一の低水準だったISM(米供給管理協会)製造業・雇用指数に関しては、好不況の節目となる50.0ポイントを下回るのが今年で4回目ということで、そこまで気にする必要もないでしょう。
製造業の雇用指数が下振れした背景も、米金融当局が金利引き上げに積極的になっていることで、従業員数を抑えようとしていることがあります。一方で大企業がレイオフ(一時解雇)を行っていないのは、まだ景気の現状、短期的な見通しは問題ないとのことで、今回の雇用統計に寄与する影響は小さそうです。
非製造業部門の雇用指数は相変わらず堅調で、アフターコロナの回復が未だに続いていると言えそうです。
したがって、全体的に見ればまだまだ米国の雇用市場は堅調ですから、予想並かそれ以上の数字が出ることが予想されます。
146円台に乗せるにはサプライズが必要
ISMの非製造業部門の数字を受けて、一昨日あたりから徐々にドルが買い戻されていますので、上抜けるハードルはやや高めかもしれません。
また、仮に大きく上がってレンジブレイクしたとしても、週末ということで週明けの東京市場を意識せざるを得ませんから、介入警戒感も相まって早い段階での利食いによる急落も十分あり得ますので要注意です。
予想値は非農業部門雇用者数(NFP)が+25.0万人、平均時給が前月比+0.3%・前年比+5.1%となっています。
予想並かこれを上回る数字なら、ドル円はジリジリ買われて介入のあった145.90円に迫るかもしれませんが、これを更新して146円台乗せとなるためには、NFPが+35〜45万人といったサプライズが必要でしょう。あるいは平均時給が前月比で+0.7〜0.8%といった数字が求められそうです。
逆にNFPがマイナス圏に沈む、平均時給が大きくマイナスになるといったことでもなければ、なんだかんだ円の売られやすい状況は変わらないわけで、目先安値の143.50円を割り込んでいく可能性は低そうです。