1,000人もの研究者たちが失職する?
以下に東洋経済から一部引用する。
一般の労働者も研究者も有期雇用の通算期間の起算日は、いずれも改正労働契約法が施行された2013年4月1日になる。研究者の場合、そこから10年になる2023年4月1日まで雇用が続いていれば、無期転換申込権を得る人が多い。
しかし、多くの大学や研究機関では、有期雇用の研究者らを無期雇用に転換するためのお金が十分にない。2004年度の国立大学法人化を契機に、財務省によって大学が比較的自由に使える安定財源の運営費交付金は2015年度までに総額で1割以上削られた。そのあおりで各大学などは無期雇用のポストの数を削減している。その後も運営費交付金は増えていない。
そうした事情がある中、各大学や研究機関は「10年特例」による無期転換申込権の発生を阻止するために2023年3月末までに有期雇用の研究者を雇い止めにする──。すべてはわかりきっていたシナリオだ。政府や政治家は、そこに対して事前にどう対処するかが問われていたはずだった。
出典:9年前に予見された「研究者大量雇い止め」の戦犯 | 就職・転職 – 東洋経済オンライン(2022年10月21日配信)
全頁紹介の拙著にあるように、日本の税収の事実上のピークは1990年度だ。そのため、日本政府は(無駄な支出やバラマキ外交は削らないが)随所で削りやすい予算を削ってきた。また、1997年度が経済規模のピークなので、民間企業からも貴重な人材が海外に流出し、海外企業に追い抜かれ、差を広げられる結果となってきた。
それが今後は円安で加速される可能性がある。「研究者大量雇い止め」では、1,000人もの研究者たちが失職するかも知れないからだ。
研究者たちだけではないかも知れない。以下は英国の事例だ。
中国軍は元英空軍パイロットの訓練技術と専門知識を求めて人材スカウトを行っている。そして、英政府はそれを阻止しようとしていると、英国防省が火曜日に述べた。
30人ほどの元英軍パイロットたちが中国に渡り、人民解放軍の人材育成のために働いていると思われると、BBCが火曜日に報道した。求人は増加しているようだ。元パイロットたちは中国のために働くことに高額の報酬が提示されている。
中国軍に参加したパイロットたちは、オーストラリアからもいるという。
円高時ですら、海外のチームに移籍したプロスポーツ選手などは、日本とは桁違いの報酬を手にしてきた。そして、それは日本の一般人にさえ、日本では得られない夢を与えてきた。
日本経済の低迷と膨大な政府債務に加わった円安は、才能の流出が一般人のレベルにも及ぶ可能性を示唆している。日本でまともな待遇が得られないのなら、雇い止めで暮らせなくなるのなら、海外に行くことは誰にも止められない。活躍しているプロスポーツ選手や学者が称賛されるのなら、誰でもがチャレンジしてもいいはずだ。
累積赤字と円安で加速する「才能」流出は、もう誰にも止められない。すべてはわかりきっていたシナリオだ。 ※2022年10月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
※本記事は、矢口新氏のメルマガ『
相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー
相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー
』2022年10月17日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に
今月分すべて無料のお試し購読
今月分すべて無料のお試し購読
をどうぞ。配信済みバックナンバーもすぐ読めます。 ※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込880円)。
<初月無料購読ですぐ読める!10月配信済みバックナンバー>
<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>
『
相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー
相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー
』(2022年10月17日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―
[月額880円(税込) 毎週月曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
ご好評のメルマガ「相場はあなたの夢をかなえる」に、フォローアップで市場の動きを知る ―有料版― が登場。本文は毎週月曜日の寄り付き前。無料のフォローアップは週3,4回、ホットなトピックについて、より忌憚のない本音を語る。「生き残りのディーリング」の著者の相場解説!