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中国の中高生はおこづかい20万円。日本人の想像を越える“05后世代”の消費行動10個の特色=牧野武文

日本人は中国の子どもたちはあまりお金をもっていないだろうと思っているかもしれません。しかし、先日発表された中国の消費傾向の報告書によれば、中高生、とくに大都市の子どもたちは日本円で約10万円、中国の物価換算で考えると20万円ほどのおこづかいをもらっていることがわかりました。そんな高額なおこづかいを、子どもたちはどのように使っているのでしょうか?(『 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード 』牧野武文)

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※本記事は有料メルマガ『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』2022年10月24日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:牧野武文(まきの たけふみ)
ITジャーナリスト、フリーライター。著書に『Googleの正体』『論語なう』『任天堂ノスタルジー横井軍平とその時代』など。中国のIT事情を解説するブログ「中華IT最新事情」の発行人を務める。

裕福な中国の中高生

05后(2005年以降生まれ、リンウーホウ)世代と呼ばれる年代が中国では話題になっています。。現在の中高生にあたります。05后も、友だちや恋人と出会う対面での出会いが重要な時期にコロナ禍に見舞われました。05后は青春を謳歌する大事な時期に孤独を強いられることになりました。

その中高生たちの日常はどのようなものになっているでしょうか。それを明らかにしてくれるのが「05后消費傾向洞察報告」(PCG)です。この報告書を読んで、個人的にかなり驚きました。私が知っている(というより勝手に想像していた)中国の中高生の姿とは相当にかけ離れているからです。

私のイメージの中の中国の中高生というのは、おこづかいの額も少なく、アルバイトもできず、楽しみといえば学校帰りに蜜雪氷城に友だちと行って3元のレモンジュースを飲みながらおしゃべりをし、制服であるジャージをいつも着て、欲しいものと言えばOPPOのスマートフォンというイメージなのです。

この報告書を読んでからある中国の方に、自分の中にある中国の高校生のイメージを伝えたところ大笑いされました。それは10年以上前の姿だというのです。その方に言われて気がついたのですが、中国でもアジア圏でもヒットした「駆け抜けろ1996」という青春ドラマがあり、その中に出てくる高校生のイメージだと言われました。

このドラマのような高校生が今でもいると勝手に思い込んでいましたが、このドラマは題名からもわかるように、1996年頃の高校生を描いたもので、今、中年になった人が「あの頃の自分もそうだった」と懐かしみながら見るという趣向なのです。現代の人から「それは古すぎる」と笑われるのも当たり前です。

このメルマガでは、「中国はこうだと思い込んでいる方が多いですが、ほんとうはこうなんです」と偉そうに語っておきながら、自分もうっかりその罠にはまっていました。常に、新しい情報を仕入れて、自分の考え方やイメージをアップデートし続けないと、中国のことは理解できないということを再認識しました。

どこが驚いたかというと、意外にも自由になるお金を持っていることと、SNSが情報の中心となり、消費傾向が成人とあまり変わらなくなっているということです。

想像を越えた中国中高生の「意外な現実」10個

今回は、中高生の消費生活に関する10の意外をご紹介していきます。この「意外」とはあくまでも私にとって意外だったことであり、読者の中には「そんなの普通のことでしょ」と感じられる方もいるかもしれません。しかし、中国に住んでいたとしても中国人の家庭の中まで見るということはほとんどないわけですから、多くの方にとっても意外なのではないかと思います。

<意外その1:子どもたちはお金を持っている>

まず、子どもたちは意外にお金を持っています。毎月、自分の自主的な判断で使えるお金の金額を尋ねたところ、最も多いのは500元から1,000元となりました。

ひと月に自由に使えるお金の額。500元から1,000元と答えた中高生が最も多いいです。

1,000元というのは2万円程度になります。2021年の平均年収の統計を見ると、最も高い上海市で8万2429元(約166万円)、北京市で8万1518元となっています。多くの家庭では共働きであるため、このような大都市では世帯年収は300万円+程度でないかと想像できます。日本の世帯年収は厚生労働省の2022年8月のデータで、552.3万円となっていますので、中国の家庭の収入はちょうど日本の半分ぐらいの感覚になっています。

その中で2万円のおこづかいを子どもに与えているわけですから、日本で言えば倍の4万円ぐらいの感覚です。

「家計の金融行動に関する世論調査」(金融広報中央委員会)が公式サイト「知るぽると」で公開されています。これによると、高校生のおこづかい額は8248円、中学生が4192円となっているので、中国の子どもたちはずいぶんと使えるお金をもっていることになります。

ただし、日本の場合は携帯電話料金が高いため、携帯電話料金は親が払うか、基本料金を親が負担し、通話料金などを子どもが負担するという形が多いようです。中国の場合は、携帯電話料金が安く、自分で負担をすることがほとんどです。ただし、学校ではほぼ使うことができないため、ギガの少ない低価格のプランに入るか、自分で考えて契約をせず、家や公共のWi-Fiだけで使うという中高生も多いようです。

Next: 大都市の中高生はお金持ち。大人と同レベルのブランド品を身に付ける…

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