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中国の中高生はおこづかい20万円。日本人の想像を越える“05后世代”の消費行動10個の特色=牧野武文

<意外その5:好きなブランドは大人と変わらない>

好きなブランド、憧れのブランドを聞いた結果のワードクラウドがこの報告書に掲載されています。ワードクラウドというのは回答数の多いものを大きな文字で表示するという可視化をしたものです。

中高生が憧れるブランドのワードクラウドで回答数が多いものが大きく表示されたのは、AJ(エアジョーダン)が圧倒的に高くなっています。

気になるブランドは、AJ(エアジョーダン)、アップル、ルイヴィトン、ナイキ、ファーウェイとなりました。

ワードクラウドを見ると、YSL(イヴサンローラン)、グッチ、プラダ、シャネル、ティファニーなどのハイブランドや、カナダグースなどの名前が見えます。もはや、中高生でも、あるいは中高生だからこそ、ハイブランドに興味を持つのかもしれません。この感じは大人とほぼ変わりません。また、カシオの名前が入っていることは注目をしていいかと思います。言うまでもなくGショックです。高校生の男の子の間ではGショックは人気の腕時計になっています。

<意外その6:使い道は真面目>

かなり多くのおこづかいをもらい、ブランドにも興味がある中高生ですが、おこづかいの使い道を尋ねると意外と真面目です。

おこづかいの使い道を尋ねると、意外に真面目で、学習に使われる割合が高いのです。

最も多くなったのは学習用途でした。参考書などの購入費です。次が社交で、友人とカフェやファストフードに行くというもので、これも中高生とすれば一般的です。その他の、おしゃれ、趣味、娯楽というのは、さほど多くありません。意外におこづかいの使い道は真面目であるようです。

<意外その7:種草経済の浸透は限定的>

消費をする場所を尋ねてみると、最も多いのはタオバオなどのECとなりましたが、路面店も多く残っています。また、学校の中での売店での消費も多くなっています。

意外だったのが、SNS「小紅書」、ショートムービー「抖音」などによる、種草経済経由の購入がさほど多くないことです。種草経済については、「vol.129:SNS「小紅書」から生まれた「種草」とKOC。種草経済、種草マーケティングとは何か」でご紹介していますが、

小紅書ではテキスト、写真、動画などの記事、抖音ではショートムービーに商品タグを埋め込める仕組みです。商品タグをタップすると、そのまま商品購入ページが表示され購入ができるというものです。

種草経済の中心である小紅書、抖音、快手のECビジネスは急成長をしていて、タオバオや京東(ジンドン)などの伝統的ECを脅かすようになっています。ビジネス的には注目をすべき新世代のECですが、将来大きな問題になりそうな要素も潜んでいます。

それはこの3つのサービスは、あまりに面白いがゆえに長時間見てしまい、大量の時間を浪費させるということです。特にショートムービーはやめるタイミングが見つからず、ダラダラと何時間でも見てしまいがちです。ちょうど、昭和のお父さんが日曜日にゴロゴロして朝から晩までテレビを見てしまう感覚です。

もうひとつは、このような種草経済による消費は、近年、抖音が「興味EC」という言葉を使い、興味を喚起して購入させる新しい消費スタイルであるというアピールをしていますが、ベースになっているのは衝動買いを誘発する仕組みです。種草経済で売れているものは、面白いアイディア玩具や収納用品などが中心で、この感覚は日本のテレビショッピングにも通じるものがあります。買ってみてがっかりとまではいきませんが、買わなくてもよかったなと思えるものもたくさんあります。

このような種草経済に未成年がハマると、毎日ダラダラとスマホを見てすごし、無駄なものばかりを買っているということになりかねない危険性がありますが、調査結果を見る限り、種草経済の中高生への浸透は限定的のようです。

ひとつは、中高生は意外に自由な時間がないということが大きいのではないかと思います。学校があり、学校の課題もあり、スマホの利用時間も親との約束で制限されていることが多くなっています。その中で、種草系のSNSやショートムービーを見始めると他のことができなくなってしまいます。アニメを見たり、友人とSNSで連絡をしたりする方が中高生にはまだ面白いのかもしれません。

種草系にハマっているのは、20代・30代の単身者が中心です。夕食後の自由時間があり、自由に使えるお金もあるということが大きな要因です。

Next: 中国でも使えるの!?Twitterは中高生まで浸透している

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