GAFAMというと、Google、Apple、Facebook(Meta)、AmazonそしてMicrosoftのこと。世界の株式市場を牽引してきたこの5社が今、大きく売られています。株式市場の反応やSNS等の動きを見ると「もうGAFAMの時代は終わったのではないか?」というような意見すらあります。果たして本当にそうなのでしょうか?(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
決算を受け、株価は軒並み下落
直近で、7月から9月期の決算が発表されました。
それぞれ、発表日、売上高、EPS(1株当たり純利益)、そして翌日の株価の推移を表しています。
売上高に関しては、Meta(Facebook)を除けばプラスでした。
しかしEPSに関しては、アップルを除くと前年同期比で昨年の7~9月期と比べてマイナスという状況になりました。
この状況を受けて発表翌日の株価は、
- Google:マイナス10%
- マイクロソフト:マイナス8%
- Meta(Facebook):マイナス25%
- Amazon:マイナス19%
- アップル:横ばい
日本でいうとストップ安に該当するような数字です(※編注:原稿執筆時点2022年10月28日。11月11日現在、インフレ懸念後退を受けて各社の株価は値を戻しています)。
GAFAMはこの1年で総崩れ
特徴的なのは、他の米国株に関してはそこまで下がってない。
あるいはプラスになっている状況なのに、これまでアメリカ株を引っ張ってきたこれらの会社だけが下げている。
これが今までにない特徴です。
それは今に始まったことではなくて、実はこの1年で総崩れしているのです。
Appleこそ、ほぼ横ばいで推移していますが、Microsoft、Amazon、Googleは3割から4割の下落。
Meta(Facebook)に関しては、なんと7割もマイナスという、かなりしんどい状況になっているわけです。
業績が冴えない5つの要因
なぜこのような状況になってしまっているのか?
なぜ投資家がこういったネガティブな反応を見せているのか?
<要因その1:成長鈍化>
その1つはファンダメンタルズの面があるわけです。
このファンダメンタルズ面での要因を見ますと、成長鈍化があります。
各社、(Metaを除けば)売上高は、この四半期においてもプラスを維持したので、確かに成長しているとも言えます。
しかし一方で、このコロナ禍での業績の伸びというのは、例えばアルファベット(Google)などは、昨年同期比で40%も伸びるという驚異的な数字を記録していたのです。
Google、Microsoft、AmazonそしてFacebook、いずれもかなり高い伸びを記録していました。
その高い成長に対して、今6%とか10%程度の伸びになっていますから、成長が鈍化しているのではないか?と言われているわけです。
個別で見ましても、例えばGoogleのYouTube。
2019年からYouTube単独での売り上げの推移を示しているのですが、今回初めてマイナスになってしまった。
「ついにYouTubeの成長も終わりか」と見られていたりします。
<要因その2:ガイダンス不良>
ガイダンス不良というのは、主にAmazonです。
Amazonは今期(先ほど見ましたものでは)売上高前年同期比に対して、プラス15%という数字でした。
これはすごく調子が良いように見えます。
しかしプライムデーで、セールをやったことが大きく寄与したのではないかという見方もあります。
Amazonと言うと、実は第4四半期。
このクリスマスシーズンに他の企業から比べると、かなり大きな売り上げを立てる。
それはアメリカ人の消費特性というところがあって、クリスマスシーズンにものすごくお金を使うのです。
そのクリスマスシーズンの業績予想が、投資家アナリストの予想を下回ってきた。
よって「次の決算よくないんじゃないか」ということが株価に大きく影響を与えて、20%ぐらい下げているという状況です。