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“2年で約2倍”大幅値上げのDAZN。収益化のフェーズだと余裕の姿勢も解約希望者には執拗な“引き留め”か

スポーツ映像配信の「DAZN」が、今年2月14日から月額料金を3,000円から3,700円に値上げすると発表したことが、スポーツファンの間で大きな波紋を呼んでいる。

報道によれば、従来からあるプランが「DAZN Standard」という新プランに変更されるとのことで、単月で月々に支払う場合だと現在の月額3,000円から月額3,700円に、12か月契約で月々に支払いが発生するプランは現在の月額2,600円から月額3,000円に、12か月契約で一括に支払うプランだと現在の2万7,000円から3万円になるとのこと(価格はすべて税込)。

いっぽうで、「DAZN Global」という月額980円(税込)で視聴できる新プランも導入されるとのこと。こちらは、日本国内では見る機会が少なかったコンテンツを多く集めているといい、競技はボクシング、格闘技が中心だという。

解約し今後はネカフェで観戦…という声も

先日、東京23区の2022年12月の消費者物価指数が発表され、前年同月比で4.0%の上昇と、実に40年8か月ぶりの上げ幅となるなど、異常なほどの物価高が続いている昨今。

そんな物価高の余波はいよいよ娯楽の分野にも……といったところだが、とはいえDAZNに関しては、2016年に日本でのサービスを開始した際には月額1890円で見られたのが、2019年4月の1925円への値上げに続き、昨年2月には一挙に3,000円まで高騰。そして、それから1年後には今回取沙汰されている3,700円への値上げと、サービス開始時の7年前から比べるとほぼ倍額という、異常な値上げ幅となっているようだ。

それにしても月額3,700円といえば、NetflixやHuluといった動画配信系サブスクの月額価格を軽く凌駕し、月ぎめのサービスということでいえば大手紙の購読料にも迫るといった価格帯。DAZNはJリーグと長期の放映権契約を締結しており、全試合を独占ライブ配信していることから、そのサポーターらの利用者が格段に多いとされるが、彼らの一部からはDAZNの一括払いの金額が、現地観戦のシーズンシート価格を超えたといった声までもあがっているほどなのだ。

さらにDAZNに関しては、配信環境が悪いのかよく映像が止まる、アーカイブが短期間しか残らない、有料コンテンツでもCMが入る、そして評判の良くないUIなどに対する不満の声がかねてからあり、それらが大して改善されないにもかかわらず、値上げだけは派手に行うということで、いよいよ堪忍袋の緒が切れそうだという声も多い模様。

実際、先述のようなJリーグのサポーターでも、シーズン中にだいたい週1ペースで開催される贔屓チームの試合を観戦するのが関の山ということなら、それで月に3,700円も払うのは、流石に割に合わないかも……といった見方も。

DAZNといえば、快活クラブなどのインターネットカフェに行けば、見放題だというところも結構あるということで、個人での契約は打ち切って、そちらを随時利用したほうがコスパは良いのでは……といった話も、SNS上では大いに取沙汰されているようだ。

解約希望者には必死の引き留め策が

このように相次ぐ値上げに値上げに利用者も憤るばかりといったDAZNだが、実際のところ昨年の大幅値上げの際には、解約の動きはそれなりに見られたものの、DAZN側が想定していた数よりは少なかったということ。先述の通りJリーグを毎試合見たいというファンにとっては、DAZNほぼ一択といった状況のため、止めるに止めれないという向きも多かったいうのが実際のところのようだ。

さらにDAZN側は「最初の5年は投資フェーズ、いまは収益化のフェーズ」とも語っているということで、そのことは2016年のサービス開始から6年目の2022年以降、毎年大幅な値上げが続いていることにも一致している。利用者からすればあり得ないような値上げでも、DAZN側とすればすべては計画通り、相次ぐ大幅値上げでもユーザー離れはさほど起きないと、余裕綽々といった感じにも見える。

ただ、今回の件で解約を決めたという人々からは、その手続きをウェブ上でする際に、五月雨式に割引価格を提示されたという報告が多数。DAZN側も裏では必死の引き留めといったところのようだが、利用者側からは「やり口がAdobeと同じ」などと、逆にさらなる反感を買う格好となっているようだ。

日本においては2019年がその“元年”と言われ、その後のコロナ下での在宅時間の増加で大いに定着した感があるサブスクだが、どのサービスもいずれは収益化へと持っていきたいと考えるのは当然といったところ。

ただ、未曾有の物価高が家計を逼迫するなか、真っ先に切り詰めの対象となるのは多くのケースで遊興費ということもあり、果たして今回もDAZN側の思惑通りにいくのかどうかはまったく未知数といったところ。ただその顛末次第では、その動きに追随するサブスクが多く出てくることは大いに考えられそうだ。

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