優良高配当銘柄を見抜くポイント
<ポイントその1:配当性向>
企業の配当政策を考える上で外せない指標が「配当性向」です。
配当性向(%)= 支払配当金 ÷ 当期純利益 =1株あたり配当 ÷1株あたり利益(EPS)
企業が上げた利益のうち、何%を配当として還元しているかを示す指標です。
配当性向が高い企業ほど株主還元に積極的な会社である、と解釈できそうですが注意点もあります。
中には配当性向が100%を超えている会社もあります。いわゆる「タコ配」と呼ばれるものです。配当の原資は利益剰余金であるため、タコ配そのものは直接的な問題ではないのですが、これが続くと自己資本が減少していくため、継続する可能性が低いと考えるべきです。
配当性向が高い理由としては、積極的な株主還元を行いたい、自己資本を圧縮してROEを高めたい、決まった配当額を継続したい、など様々な理由がありますが、いずれにしても高い配当性向は「余力がない」ことを意味します。増配の余地は限定的ですし、業績悪化の際には減配もあるかもしれません。
平均的な配当性向は30%程度です。高配当株投資を行う際は、単純に利回りだけでなく、配当性向の高低も見ながら判断する必要があります。
<ポイントその2:配当政策>
企業は投資家に対して「配当政策」を示しています。そのパターンとしては
- 安定的な配当を重視
- 配当性向(%)を基準
- 純資産配当率(DOE)(%)を基準
- 累進的な増加を目指す
など様々です。また、急成長中の若い企業では内部留保を重視し配当を実施しない企業もあります。
高配当株投資を行うのであれば、安定的な配当政策を表明している企業に投資したいものです。配当政策は有価証券報告書の「配当政策」の項や決算会説明資料に示されています。これら資料を確認して安定的な配当を受け取れるのかを考えていきたいものです。
例えば、以下が松井証券の配当政策を示したものです。
松井証券の2023年3月期の予想配当利回りは5.18%、高配当銘柄と言って良いでしょう。
出典:松井証券 決算会説明資料
松井証券の配当政策は、
配当性向:60%以上
純資産配当率(DOE):8%以上
という方針が示されています。これは何を意味しているのでしょうか?
配当性向60%は平均と比べて高めに設定されており、業績が良ければ株主還元を行う、といった姿勢が見て取れます。
DOEは支払配当金をBS上の純資産で割った指標です。純資産は当期純利益に比べ変動率が低いため、DOE8%という方針は、事実上配当金の下限を示していると考えることができます。
つまり松井証券の配当政策は配当の最低ラインがあり、業績が良ければ増配していきたい、(だから株を買ってくれ)と言う姿勢です。このように配当性向や配当政策を見ると、企業の配当に対する姿勢が分析できるのです。
しかし、まだこれだけでは足りません。最後にもう1点見るべきポイントがあります。