<ポイントその3:業績の安定性>
配当の原資は基本的には当期純利益となります。高配当株投資を行いたいのであれば、業績が安定している企業へ投資し、毎年安定した配当金を受け取りたいものです。
特に、配当性向を基準とした配当政策を志向しているなら、業績の安定性は最重要事項です。業績が安定しなければ、毎年の配当金額は大きく変動してしまいます。
また、安定配当を志向していたとしても、業績が下降傾向にあれば、やがて配当も減額せざるを得なくなる可能性があります。配当に着目した投資と言えど、やはり株式投資の原則である業績を見ないわけにはいかないのです。
ここでも松井証券の事例を見てみましょう。
松井証券の過去最高益は2006年です。その後2014年に業績を伸ばしましたが、その後は安定しているとは言えない状況です。松井証券の主要な収入源は個人投資家が株取引を行う際に発生する手数料収入です。
株式市場の影響を強く受けるビジネスモデルであり、今やネット証券は競争が激しい業界です。松井証券は配当性向や配当政策が素晴らしいものだとしても、業績が安定していないため、高配当銘柄としてお勧めはできない、と判断できます。
おすすめの配当銘柄は「これ」
では、一時的な業績バブルではなく、配当性向や配当政策、経営の面から見ても今後の配当に期待できる企業とはどんなものがあるのでしょうか?
以下に3銘柄を挙げてみました。
<おすすめ高配当株その1:JT<2914> 配当利回り 7.02%>
高配当銘柄としてJTは外す事ができません。配当性向の目標は75%から±5%とされており株主還元に前向きな姿勢の配当政策を打ち出しています。
日本においては喫煙率の低下により斜陽産業のように感じますが、JTの海外売上高比率は66%に到達します。世界を見渡せば新興国など未だに喫煙率が高い国も存在していますし、喫煙率が下がったとしてもタバコの値上げが行われているため、業績の安定性があると考えて良いでしょう。
懸念点を挙げるのであれば、ロシアのリスクです。同社の売上高のうち約10%がロシア地域による売上です。ロシアがウクライナに侵攻してから、外国企業のロシアからの撤退が相次いでいます。JTに関しては今のところ撤退の予定はないとしていますが、今後の情勢次第ではどうなるかわかりません。
また、海外で事業を行っているということは、為替のリスクも無視できません。為替が円高に振れるようなら、会計上の利益が減少し、一時的にでも配当が減少する可能性があると言えます。
<おすすめ高配当株その2:小松製作所<6301> 配当利回り4.10%>
出典:マネックス証券、企業IRページより作成
JTは安定しすぎてつまらない、という方にはコマツはいかがでしょうか?
配当政策に記載されている目標配当性向は40%、過去10年の配当性向は35%から60%と、概ね配当政策通りとなっています。予想配当利回りも約4%であり、今後業績によっては増配も期待できる、魅力ある企業だと思います。
しかし同社は建設需要等の影響を大きく受ける企業です。そのため、業績や配当は波があるため、投資のタイミングを選ぶ銘柄です。安定した配当を望む方は、先にあげたJTや次に紹介するSMBCなど他の銘柄と組み合わせてポートフォリオを組みたい銘柄です。