高配当銘柄の注意点について取り上げます。これまでも配当銘柄については、「これだけ読めば今日からできる!高配当株完全マニュアル」「利回り重視のあなたに贈る!高配当株ポートフォリオ作り方」ほか記事で解説してきました。今回は具体的な銘柄も取り上げていますので、ぜひ今後の投資生活に役立ててください。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
それって本当に配当銘柄?
まずは2022年1月26日現在の配当利回りランキングを見てみましょう。
出典:みんかぶ
海運株が上位を占め、著名投資家の井村氏が投資し、売り抜けたことで話題となった三井松島や石油資源といった鉱業株。そして配当株といえば!でおなじみのJTが続きます。
このランキングを見てあなたはどう思いますか?
高配当株へ投資し、安定したインカムゲイン(配当収入)を得たいと思うのであれば、一度立ち止まって考えなくてはいけないことがあります。
ランキング上位の企業に単純に投資していただけではあなたの希望を叶えられないかもしれません。
では、ここから注意点を見ていきましょう。
一時的な高配当銘柄になっているケース
配当利回りランキング第1位は商船三井<9104>です。2023年1月現在の時価総額は約1兆2,000億円、国内2位の大手海運会社です。
またランキング第2位は日本郵船<9101>です。2023年1月現在の時価総額は約1兆6,000億円、国内1位、世界2位の海運会社です。
その他にも海運株は高配当銘柄としてランキング上位に入っていますが、これら銘柄を「高配当株」と考えてポートフォリオに組み入れることは危険です。
なぜ危険と考えるかを説明します。
2016年国内海運大手3社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)によるコンテナ事業の統合が決定されました。この統合は不況が続く海運業の不況に対する策でしたが、後ほどコロナによる混乱、スエズ運河座礁事故などが起こりました。
これらの理由により海上運賃が急騰し統合コンテナ会社の親会社である3社は巨額の利益を生み出しました。
この海運業の好調はバブルと考えて良いでしょう。
その一時的な好調ぶりは業績と配当金を確認する事で実感できます。
さらに2023年現在、景気後退のリスクが懸念されています。
海上運賃の水準がコロナ前に戻った場合、業績悪化やそれに伴う株価下落によって損失を被る可能性があります。
果たしてこのような状態の銘柄を「配当銘柄」と認識して良いのでしょうか?
誤った認識のままポートフォリオに組み入れることで、想定していた配当株投資ができなくなる可能性があります。
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