ヤマトの強みはどうやってできたのか?
ヤマトの強みは何でしょうか?
それは日本全国につながる配送ネットワークです。全国津々浦々に配送物を届ける事ができる物流システムはサービスではなく、もはやインフラです。
この強みを活かし2021年度の宅配便の市場シェアは1位を獲得しています。
この強みができた経緯を考えると、現在の利益が出ていない状況を理解できます。
ヤマトが「宅急便」を発明する以前の個人間の荷物輸送は郵便局に持ち込むか、国鉄に持ち込むことが主流でした。しかし(今では考えられませんが)荷物の到着日や時間を指定することはできず、田舎からの仕送りがいつ東京に届くか分からない状況でした。
ここに目をつけた人物が創業者の小倉昌男氏です。
出典:宅急便のあゆみ
小倉氏は「大きな荷物を一度でたくさん運ぶよりも、小さな荷物を都度配送した方が単価が高い」と判断しました。そして1976年に生まれたのが宅急便です。
つまり従来の一度で大量に運ぶ物流を、都度少量で運ぶことができるビジネスへと変化させたのです。宅急便を開発した後のヤマトは収益性が改善していきました。
さらにこの物流で必要となるドライバーは自社で管理するなどこだわりを見せます。そして1997年にはこの宅配便のネットワークが全国に広がり、現在の強みがほぼ完成したのです。
強みと需要が噛み合わない
しかし、この配送ネットワークがうまくハマらなかった需要があります。
それがEC需要です。
2021年はEC需要の大幅な拡大で増収増益を達成しましたが、同年の年末には大量の配送遅延がありました。(参考:ダイヤモンドオンライン)
なぜ遅延の問題が起こったのでしょうか。
そもそも強みであるネットワークはCtoC、あくまで1:1の荷物の輸送を前提としています。
一方でECはアマゾンやZOZOなどの特定のEC業者からユーザーに荷物が届く仕組みですから、BtoCのビジネスです。ここに絶妙なニーズの違いがあるのです。さらに法人事業の利益率が低い、つまり低料金の配送を行っているため利益が伸びてこないのです。
再度決算へ目線を移します。売上は伸びているものの、目先は減益となる決算です。その要因こそがECと既存の物流ネットワークのオペレーション最適化を図るための費用なのです。
この業績を圧迫するコストを回収し、法人事業の利益率を回復させるためにはどんな策が打てるのでしょうか?