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韓国、なぜ反日から日本人ウェルカムに大転換?「ノー・ジャパン」を諦めた経済的な理由=勝又壽良

GDPは輸出が支える

韓国の人口は、5,174万人(2021年)である。世界28位の人口規模で、実質GDPは10位(2021年)という高ランクに位置している。

これは、輸出で経済規模を嵩上げしてきたことを示唆する。事実、韓国輸出の対GDP比は、36.14%(2021年)と高く日本15.13%(2021年)を大幅に上回っている。韓国は、輸出で稼ぎGDPを押し上げているのだ。輸出で稼げなければ、韓国がGDP世界10位に止まれないことを覗わせている。

問題は今、この輸出で急変が起こっているのだ。

韓国の輸出先1位は中国である。これまで、中国の輸出が伸びれば、韓国の対中輸出も伸びる関係にあった。韓国の対中輸出の9割が、中間財であることで、その関係性を示している。

ところが、中国は2015年に発表した「中国製造2025」で、大規模な輸入代替策に転換した。つまり、中国製造業の自給率向上によって、海外からの輸入を国内生産で賄う「輸入代替」で、中間財輸入を減らしているのだ。韓国は、この事態の急変に気づかなかったもの。

これまで、中国のGDPが1%ポイント伸びれば、韓国のGDPも0.5%ポイントの増加と見込まれていた。最近では、韓国は0.2%ポイントへと低下していることが分かってきた。0.12%ポイントという厳しい試算も出ているほどだ。

中国に代わる市場を探す必要

韓国は、こういう局面転換を迎えて大慌てしている。中国に代わる市場を探さねばならなくなっているのである。

韓国が2022年、最も多くの貿易黒字をあげた国はベトナムだ。最大の貿易相手国である中国は、黒字の規模で22位にまで低下した。中国が、2018年時点で韓国にとって黒字1位であったことを考えると深刻な事態だ。ベトナムの人口は、9,747万人(2021年)である。中国河南省に匹敵する人口のベトナムが、14億人規模の全中国をカバーできるはずもない。

韓国が、短期的に「ネクスト・チャイナ」を構築することは極めて難しい問題である。今回韓国では、「輸出不振を克服するために根本的な変化が必要」と強調するものの、具体的な代案がないのだ。

韓国は最近、アラブ諸国で大口の輸出商談をまとめている。だが、中国の穴をカバーするまでにはなっていない。中国の人口高齢化に備えて、高齢者サービス市場へ積極的に進出しなければならない、という提言も出ている。

この面では、日本が中国ではるかに先行しているのだ。

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