世の中には不安を煽る人が多い
人々が不安に感じている一因は「知らないから不安だ」ということかも知れませんが、もう1つ、「世の中には不安を煽る人が多い」ということも理由だと思います。
評論家は、「大丈夫です」と言うより「〇〇という問題と××というリスクがあって、心配です」という方が客の関心を惹きやすいので、不安を煽る傾向にあります。マスコミも同様です。
「大災害の可能性は小さい」と言うより、「大災害のリスクがあり、その場合には甚大な被害が……」などと言うほうが受けると思うからそう言っている、という人も多いのです。
筆者もマスコミの取材を受けることがありますが、「大丈夫です」とコメントすると「1つでも不安なことがあれば、ぜひ教えてください」と頼まれたりするので(笑)。
これは評論家やマスコミが悪いというよりも、そうした情報の方に反応しやすい受け手の問題なのだと思いますが、いずれにしても情報の受け手としては「世の中に流れている情報は、世の中の実際よりも悲観的だ。バイアスがかかっているのだ」ということをしっかり理解して、割り引いて考える習慣をつける必要があるわけです。
政府批判は人々を不安にする
野党は、政府を批判することも仕事の1つなので、懸命に政府を批判します。その際には現状の問題点や政府の対策不足等を列挙するので、聞いた人は不安になるかも知れません。
与党支持者は野党の発言を割り引いて聞くのでしょうが、野党支持者の中には、年金等に関する野党の政府批判を聞いて、不安になる人が多いかも知れませんね。野党は政府に都合の良い情報にはあえて触れずに政府に都合の悪い情報を強調しているのでしょうから、割り引いて聞いてもらえば良いのですが。
野党の発言よりもさらに問題なのは、マスコミの中には政府を批判することが目的だと思っている所がありそうだ、ということです。マスコミの仕事は政府の監視であって批判ではないと思うのですが、筆者と異なる理解をしているマスコミがあるとすれば、聞き手が割り引かずに聞いてしまうかも知れず、不安を感じる人も多いかも知れません。
不安を煽って商品を売りつける輩に注意
なかには、人々の不安を煽って商品を売りつけようとする輩もいるので、要注意です。
怪しげな物品を売りつけようとする団体も問題ですが、金融商品を売りつけようとしている金融機関にも要注意です。
「年金だけでは老後資金が足りないので、我が社の金融商品を買って儲けましょう。そうすれば老後の不安から解放されますよ」などと言われたら、とりあえず即答せず、老後資金がどれくらい足りないのかを調べたり考えたりすることに加えて、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という言葉を思い出してみましょう。
儲けるためにはリスクを覚悟する必要があり、失敗したら足りない老後資金が一層足りなくなるかも知れない、ということも考えてみましょう。
「我が社の投資商品は必ず儲かりますから、ご心配なく」などと言われたら、それは必ず損する詐欺商品だ、と理解しましょうね。
本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2023年3月8日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による