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サラリーマン大家に寄生して稼ぐ「不動産管理業務」の闇。大手から無名管理会社までボッタクリやり放題?建築会社とグルのケースも=神樹兵輔

「不動産管理」という非常にオイシイ仕事

ここに、多額の借金をすることで、キャッシュフローという打ち出の小槌式にお金が生まれる仕組みが誕生しています。

たとえば、10億円の不動産投資で(ほとんどが借金)、1億円の家賃収入を生み出し、そのうち7,000万円分をローン返済しても、3,000万円の高収入が生みだせる――といった構図です。

3,000万円の収入だと、半分は税金でもっていかれますが、経費算入具合次第で税金も圧縮できます。

ちなみに、巷では10億円以上の不動産投資家を「メガ大家」とか「ギガ大家」と呼ぶようにさえなっています。

ただし、都市部のサラリーマンの場合、遠隔地の高利回りの地方物件を保有していても、入退去やリフォーム&クリーニング、あるいは入居者からのクレーム対応などに時間を割くことはできません。サラリーマンとしての本業が忙しいからです。

そこで、遠隔地の地場の不動産屋に、賃料の5%相当額の手数料を払って、「物件の管理業務」をお任せする――といったスキームが必要となってきたのでした。

こうして、急速に個別物件の管理を請け負う地場の不動産屋が増えてきました。「不動産管理」という業務が非常にオイシイ仕事になってきたのです。

大昔の個別物件の大家さんは、たいてい先祖代々の地主さんで、自宅周辺の自分の土地に、アパートや戸建て、マンションなどを建てていました。

そして、物件の見回りから、入退去や修繕、清掃や家賃の回収までを、全部自分の裁量で行っていたのがふつうでしたが、今日ではかなり様相が変わってきているのです。

「管理」に関わる法律ができても、ボッタクリは野放し状態!「利益追求の管理業者」vs「物件所有者」は利益相反関係

ところで、こうした不動産管理業務を規制する法律は、あるにはあっても、あくまでも業者登録制度や、契約書の交付、物件の維持保全の実施、賃料などの金銭管理、帳簿の備え付け、定期報告に関することなど、業者としてのコンプライアンス維持の規制が主体になっているだけです。

一棟物マンションなどの集合住宅全体の管理業務では「マンション管理適正化法(2001年8月施行)」があり、個別物件主体の管理においては「賃貸住宅管理業務適正化法(2021年6月施行)」があります。

こうした法律ができた背景には、サブリース(又貸し)契約のトラブルが多かったこともあります。賃料の一方的減額や解約などです。サブリース契約も管理会社として包括されるようにしたわけでした。

また、これら法律に付随した資格としては、「マンション管理士」や「賃貸不動産経営管理士」なども整備されてきています。

しかし、これらの法律があっても、管理業者による「ボッタクリ」はなくなりません。

管理業者は、自身の利益追求こそが、本来の目的にならざるを得ないからです。

つまり、所有者の利益は、管理業者の損失につながり、所有者の損失は、管理業者の利益につながる――という「利益相反(りえきそうはん)」の関係にあったからです。

何が管理の適性基準かという部分が、物件所有者からは、まったく見えてこない――という非常に不透明な状態が続いているのです。

Next: 基本、何もしない?ボッタクリやり放題の「管理契約」が横行している

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