東京藝術大学の構内にあるギャラリー「藝大アートプラザ」で業務委託で働いているスタッフが、個人のツイッター上で不適切な投稿をしたとして、契約を解除されたと報じられている。
報道によれば、そのスタッフは東京藝大にアイドルユニット「乃木坂46」のメンバーである池田瑛紗さんが合格したという報道を引用する形で、「職権をついに濫用する時が来ました」とツイート。その投稿が拡散されたことを受けて、当人は「先ほどのツイートで誤解を招きそうな表現がありました」とツイートを削除したようだが、東京藝大ならびに藝大アートプラザはこのことを大いに問題視。
東京藝大は28日に大学の公式サイト上にリリースを公開し、この件に関して経緯説明を求めるとともに、厳重な抗議及び適切な対応の要請を行ったとし、当該スタッフに関しては藝大アートプラザ業務等の契約を解除したと報告。
いっぽうで藝大アートプラザ側も、同日にお詫びの文章を同プラザの公式サイト上に公開し、そこには「当該スタッフには以後このようなことがないよう厳重に注意するとともに、学生、および、卒業生の方々に接触する可能性がある職分を解除しました」と記されている。
後絶たぬ軽率ツイートで“クビ”になる者たち
いわゆる公式アカウントにおける不適切投稿ではなく、そのスタッフの個人アカウント上での不始末だという今回の件。
そのように聞くと、学生風情のバイトスタッフあたりが投稿したものかと思いきや、元投稿の画像を見るところ、当該スタッフはアート業界でキュレーターやアーティストとして広く活動している、30代後半の男性のよう。
また、不適切投稿をした際のアカウント名には「@藝大アートプラザ」という表記もあったようで、そうとなれば例え個人アカウントだとはいえ、東京藝大や同アートプラザが、その内容を問題視するのも当然といったところである。
【悲報】一ノ瀬健太@藝大アートプラザ@iccchiiiiii氏、乃木坂46の池田瑛紗さんが東京芸術大学に合格したニュースに「職権をついに濫用する時が来ました✨」とTweetした結果、芸大アートプラザをクビになってしまい、アカウント名から@藝大アートプラザが消えてしまう pic.twitter.com/c5SMgGyPuZ
— ゆっくりドットコム (@yukkuridotcom) March 28, 2023
いまや企業あるいは特定の団体にとっての、ひとつの“顔”とも言えるツイッターをはじめとしたSNS上のアカウントだが、いわゆる公式アカウントの類や、あるいは社名や団体名の看板を背負った人物のアカウントによる“やらかし”は、SNS黎明期の頃より後を絶たない。
なかには、そんな軽率なツイートがきっかけで職を“クビ”になるといった事例も多々あり、古くは2011年に都内某ホテル内の鉄板焼店に勤めていた女子大生が、人気モデルの田中美保さんとJリーガーの稲本潤一さんの“お泊り愛”を暴露し、ホテル側から即刻解雇を申し渡されたという出来事が。
また、比較的最近だと2022年にも、徳島県にある放送局・四国放送の公式ツイッターアカウントが、突如として「#公明党って要らないよね」などのハッシュタグとともに、公明党を猛批判するツイートを行い大きな騒動に。
どうやら公式アカウントの“中の人”だった50代社員が、自身の個人アカウントと取り違えてしまったというのが事の真相だったようだが、不偏不党であるべき放送局の信用を揺るがしかねないとして、後にその50代社員は懲戒解雇となったという。
称賛される素早い処分に取沙汰される“背景”
話は戻り、今回の不適切投稿に関する30代男性スタッフへの処分だが、藝大アートプラザのリリースには「学生、および、卒業生の方々に接触する可能性がある職分を解除」とあるいっぽう、東京藝大のリリースでは「藝大アートプラザ業務等の契約を解除」とあり、その処分内容は微妙に異なる。
ただSNS上では、東京藝大のほうのリリースにある契約の解除、すなわち“クビ”になった受け止める向きが大勢で、その厳格かつ素早い対応に称賛の声が多く寄せられているようだ。
自分の存在が削除されたというオチ。
藝大側の対処が早くて良かった。 https://t.co/2JQKVw3n0E pic.twitter.com/Y3qj93XZtG
— くろ🌷 (@kurodewa) March 28, 2023
藝大の対応の早さ素晴らしいね。学生のことを本当に考えてるんだと思う。 https://t.co/eG3KRBuvYV
— もん (@mon_monmomon) March 28, 2023
確かに、アカウントに“藝大”と名乗ったうえでの軽率すぎる発言なだけに、勝手に看板を汚された格好の東京藝大としては怒り心頭なのは想像に難くなく、またその内容が昨今アート業界でも深刻な問題として取沙汰されているセクハラ問題を想起させるものだった点、くわえて問題を起こしたのが教授などの内部の人間ではなく、業務委託のいわば外部者だったことも、迅速な処分に繋がったのではという見方もあがっているところ。
早急に適切な対応がなされてよかった…藝大関係やアート業界は特に酷いセクハラとかの話をよく聞くので何も起こる前に終わってよかった… https://t.co/iNE8mbmW2b
— 齧歯類🐹mimi (@pui1129) March 29, 2023
美術業界の性加害やハラスメントは勿論、藝大自体におけるそれも問題になっている今般、アカ名に藝大の名前を入れてキュレーター名乗る人が入学生に職権濫用予告とか今一番やったらいかんやつと思いつつ、教授なら手続的に守られるところいちスタッフだからすぐに業務委託契約切られたのかと思うと複雑 https://t.co/35hnqVTNAh
— 佐藤倫子 (@sato__michiko) March 28, 2023
さらに今回の素早い対応に関しては、乃木坂46のプロデューサーを務める秋元康氏が、数年前から東京藝大の客員教授を務めていることも無関係ではないだろう……といった憶測も、大いに取沙汰されている模様。
今回の藝大の判断は藝大に秋元康氏が教授として招かれているのと、ネット反響で藝大にクレームが寄せられたのが大きいと思います。
その他の藝大でのハラスメントは放置と隠蔽されています。
— 蟹屋敷 (@kaniyashiki888) March 29, 2023
秋元康が藝大の客員教授なので迅速な対応したとかしないとか
— 閲覧用 (@nS4OOutlWAyvtun) March 29, 2023
仮にそうだとすれば、この30代男性スタッフによる発言は、いろんな意味で迂闊すぎるものだったと言えそうである。
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