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次世代「量子技術」で二流国に堕ちる韓国、復活する日本。盗めない最先端技術に国力の差=勝又壽良

コリア量子経済化は12年先

韓国政府(科学技術情報通信部)は、6月末に「大韓民国量子科学技術戦略」を発表した。韓国が、独自技術によって量子コンピューターを開発し、世界最高水準の量子センサーで海外市場を先取りする。さらに、国防・先端産業と融合して2035年に世界的な「量子経済中心国家」時代を開くという内容である。

官民合同によって、2035年までに最小3兆ウォン(約3,000億円)を投資して量子技術を先導国の85%水準まで高めるという計画だ。現在の技術水準は63%とされる。このレベルから85%水準まで押し上げるには、並々ならぬ努力が必要である。それでも、100%には追いつけないのだ。「二流国」は決定的である。

韓国政府のビジョン通りに、「2035年世界的量子経済中心国家」に到達するには、専門家らが次のような提言をしている。大統領が、サムスンなど財閥企業オーナーらと直接交渉して、最初から開発目標を明確にし、官民の協業体制を敷かなければならない、としていることだ。これが、「韓国的開発方式」であろう。後述するように、日本は、民間主体で国立大学研究陣との間で整合的な開発計画を立てている。日韓では、開発計画において質的に見て雲泥の差と言うほどの違いがある。

韓国で最大の問題は、左派政権が技術開発に関心の薄いことだ。文政権時代の2020年に、科学技術情報通信部が量子コンピューター開発で60億ウォン(当時、約5億3,000万円)の支援構想を打ち出したが、文氏の反対で立ち消えになった。現政権によって再出発する形だが、大きな立ち後れになった。日本は、2008年から量子コンピューター開発に取組んできたのだ。これが、日韓政府の技術開発への認識の差と言えよう。

韓国左派は、福島原発処理水放出について科学データを無視し偽情報をばら撒いているほどである。これは、科学知識の欠如そのものを意味するものだ。「量子コンピューター」という異次元技術については、なおさら理解が可能か懸念される点である。

韓国には、政権が変われば前政権の政策を引き継がないという悪弊がある。子どもを産みっぱなしにして育てないことと同じだ。こうした政策の継続性に難点があることから、計画通り「2035年世界的量子経済中心国家」になる保証はないのだ。韓国の量子技術専門家から、「大統領が、サムスンなど財閥企業オーナーらと直接交渉して、最初から開発目標を明確にし、官民の協業体制を敷かなければならない」と提言する理由はここにある。

量子の最後発国に恩恵ゼロ

韓国の量子コンピューター開発は、計画通に進んだとしても2035年にならなければ、結果が出ないという長丁場の話である。サムスンなどの半導体企業を巻き込んだ開発になるとしても、サムスンにはサムスンの経営計画がある。サムスンは、国内で約30兆円を投資して半導体工場団地を構想している。そのサムスンに対して、量子コンピューター開発で支援せよと要請しても無理であろう。国家プロジェクトである以上、韓国政府が継続して進める法律でもつくらない限り、予定通りには進まないであろう。

しかし、仮に2035年に量子コンピューターが稼働したとしても、最後発になるであろう。そのときはすでに、日米の量子コンピューターが世界市場を席巻しているにはずだ。米国IBMは、量子コンピューターに賭けている。その一環として、量子コンピューターに必要な先端半導体(2ナノ以下)製造を日本に託しているのだ。日米が一体化しさらに台湾のTSMCまでが日本へ半導体工場を建設している。こうして、日米台三カ国の量子コンピューター連合ができあがると、韓国の量子コンピューターが逆立ちしてもつけいる余地は狭まっているに違いない。

韓国は、これまでメモリー半導体で世界一のシェアを握ってきた。だが、今後は非メモリー半導体が主流になると観測されている。韓国の出番は、しだいに浸食されていくという悲観的な見方だ。その上、量子コンピューターでも、今ようやく開発スタートでは遅すぎることは間違いない。

世界の大型コンピューター開発史を見ると、米国IBMと日本の富士通・NEC・日立製作所・東芝・三菱電機・沖電気が関わっている。日本には、これだけの技術的な蓄積があった。韓国メディアが、日本を「判子とファックス」とからかっているのは、余りにも日本のイノベーション力を見誤っていると言わなければならない。

韓国は、大型コンピューター開発の歴史がゼロである。半導体技術は、日本からの窃取による結果であり、正式な対価を支払っての技術導入でない。日本の半導体技術者を高額のアルバイト料で釣ったものである。サムスンは、土日の2日間で1ヶ月分の給料に見合うアルバイト料を支払っていたのだ。韓国へ月4回行けば、給料と合わせ5ヶ月分の収入になった。破格の個人的収入によって、日本の「お宝」半導体技術がサムスンの手へ渡ったのである。

韓国企業には、大型コンピューター開発の経験がない以上、量子コンピューター開発が成功するまでに紆余曲折を辿ろう。韓国メディアが危惧するように、技術の「二流国」になる可能性が大きいのだ。

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