まとめ:投資する上で気をつけるべきポイント
ここまでをまとめます。
- 全国保証は保証実績を積み上げ、安定的なビジネスモデルである
- このストック収益に基づく配当金は、目先減配の可能性は低い
- しかし、将来の売上成長の原資となる長期前受収益の成長率は鈍化している
- したがって、10〜20年後の長期目線では減配となる可能性がある
- 対応策として、保証会社のM&A等でシェア拡大を目指す
最後に、株価の評価を考えます。
23年12月28日 終値時点のPERは12.4倍です(※原稿執筆23年12月29日)。これだけの業績の実績を誇りながら、このPER水準に落ち着いている理由は、成長性の懸念が反映されているものと考えます。
とはいえ、これまで積み上げてきた保証が売上に計上されることから安定感もあります。したがって、同社に投資する1番のメリットは配当金と株主優待であると考えます。
23年12月28日 終値時点の配当利回りは3.21%。株主優待であるクオカードも考慮した、総配当利回りは約3.77%です。安定的なビジネスに裏付けされた配当金は、安心感があります。少なくとも目先、配当金が減る可能性は低いでしょう。
リスクを考えると、全国保証が成長してきた背景には、低金利によって住宅ローンが組みやすい環境下にあったことを考慮するべきでしょう。今後金利が上昇した場合は、全国保証のビジネスに多くの悪影響を与えると考えられます。これが現実となれば、ますます成長鈍化の色合いが強くなり、長期的には減配となる可能性が高くなります。
長期前受収益の変化や国内金利動向をチェックしながら、将来の成長度合いを予測し、投資することがポイントになりそうです。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取り扱いには十分留意してください。
『
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
』(2023年12月29日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。