米国の敵は米国…
高齢で不人気の現職バイデン大統領と、おそらく共和党候補になるであろう有罪判決及び係争中の裁判をいっぱい抱えているトランプ氏の争いで、トランプ氏若干有利の下馬評は、世界中が固唾をのんで見守っていることでしょう。
米国の分極化と党派対立は歴史的な高水準にあり、「政治システムの機能不全は先進工業民主主義国の中で最もひどい」とし、大統領選挙がこの政治的分断を悪化させると指摘しています。
2位の「瀬戸際に立つ中東」に関しては、イエメンの武装組織フーシ派の紅海での商船への攻撃が、貨物保険料の高騰、サプライチェーンの混乱、原油価格の上昇などにつながり、米国を含む世界経済にとってのリスクになるでしょう。
イスラエルのユダヤ人はホロコースト以来最悪の暴力にさらされた後、自分たちが世界的に孤立し、憎しみの対象にすらなっていると感じている一方で、パレスチナ人は自分たちが大量虐殺に遭っていると考えており、和平の見込みも脱出の機会もないといえます。
イスラエルがパレスチナ自治区ガザでジェノサイド(大量虐殺)を行っているとして、南アフリカがオランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)に提訴しました。
訴えを起こした南アフリカは、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区の「破壊」を計画しており、「国家の最高レベル」が立案に当たったと述べました。
一方のイスラエルは、南アの主張には「根拠がない」と述べ、ジェノサイドを行った者がいるなら、それはイスラム組織ハマスだと主張しました。
ICJの判事は今後、イスラエルがガザ地区での戦争において、「国民的、人種的、民族的、または宗教的な集団の全体または一部を破壊」しようとしたかを判断します。
ユーラシア・グループの今回のレポートでは「はじめに」として
・3つの戦争が世界情勢を左右する
・ロシア対ウクライナは3年目、イスラエル対ハマスは3カ月目に入った
・そして米国vs米国の争いは、今にも勃発しそうだ
……と表現しています。
2024年の最大のリスクとしている「アメリカの分断」に関しては、こう表現しています。
今年は世界人口の3分の1が投票に行くが、前例のないほど機能不全に陥った米国の選挙は、世界の安全保障・安定・経済の見通しに多大な影響を与えるだろう。
その結果は80億人の運命に関わることになるが、発言権を持つ米国人はわずか1億6,000万人に過ぎず、さらに勝敗はほんの一握りの激戦州の数万人の有権者によって決定される。
民主党であれ共和党であれ、負けた側はその結果を不当なものと考え、受け入れようとしないだろう。
世界で最も強力な国が、自由で公正な選挙、平和的な権力移譲、三権分立による制度的チェック・アンド・バランスなど、基盤となる政治制度に対する重大な挑戦に直面している。
連邦の政治はとんでもない状況にある。
……冷静な分析ですね。
「10大リスク」の全文が読めるPDFはコチラです。
https://www.eurasiagroup.net/siteFiles/Media/files/Top%20Risks%202024%20JPN.pdf
「2024年10大リスク 日本への影響」というレポートもあります。
https://www.eurasiagroup.net/siteFiles/Media/files/Top%20Risks%202024%20Japan%20Addendum%20JPN.pdf
ここから、気になる箇所をピックアップして紹介します。