fbpx

日本株急騰も新NISAで飛び込んだ素人たちはごっそり狩られる?大きな落とし穴と3つの回避術=岩崎博充

またハシゴを外されるのか?

33年ぶりとも言われる株価水準だが、この33年間は、日本の個人投資家にとっては長くつらい歳月だったと言っていい。

1989年の大納会でつけた日経平均株価3万8,915円87銭は、わずか2か月足らずで3万6,000円台にまで下落。バブルとは知らずに株式を買っていた投資家は、損切りもできずに30年以上も保有を続けて来た人もいるはずだ。

その間、他の国の株価は10倍、20倍になっているのが普通だ。米国のニューヨークダウ工業株はこの30年で14倍になっている。

日本だけが、低い株価に甘んじてきたわけだが、この30年の間にも個人投資家は株価上昇を期待しては、裏切られ続けてきた歴史がある。例えば、2000年前後の「ITバブル」では、日本株も浮上できると考えた投資家が多く、IT銘柄に競って投資。しかしながら、ライブドアショックといった日本特有の下落局面もあって、結果的にはITバブルが崩壊し、平均株価は2万円から7,607円(2003年4月)まで下落している。

その後、米国のサブプライム問題(=リーマン・ショック)でも、株価は7,054円(2009年3月)まで下落。2012年に誕生した第二次安倍政権によって始まった「アベノミクス」によって、株価は2万5,000円台に回復していくわけだが、そのアベノミクスも結局のところ停滞していくことになる。アベノミクスは、日本銀行の黒田新総裁が打ち出した異次元の金融緩和によって、意図的に株価を高騰させ、2015年6月には2万868円まで上昇している。しかしその後は再び低迷を続け、2019年には2万5,000円台まで回復するものの、2020年にはコロナ禍拡大によって、株価はまたもや2万円を切る水準まで下落する。

日本の投資家の多くが、株式市場に期待をしなくなってしまったのは、個人投資家の構成比率の低下でも明らかだ。かつては4割近くが個人・その他の投資家によって保有されていた株式市場だが、最近では17.6%に低迷している(日本取引所グループ、2022年)。個人の金融資産も相変わらず2,121兆円の金融資産のうち1,721兆円が預金になっている(日本銀行、資金循環統計、2023年第3四半期速報)。ちなみに、証券はわずか402兆円に過ぎない。

約30年に渡って日本の個人投資家は、株式投資で常にハシゴを外され続けてきたわけだが、果たして今回の株価急騰も一時的なものなのか。

未来のことはわからないが、疑心暗鬼に思っている個人投資家も多いはずだ。

新型NISAは株価急騰の原動力?

そもそも、今回の株価急騰は海外からの資金流入が中心になっていると言われており、新型NISAで始まった個人投資家の積立投資の多くは、まだ日本株には向かっていないのではないかと言われる。

実際に、1月第2週(1月9日〜12日)の投資部門別売買状況を見ても、海外投資家が9557億円の買い越しで、個人投資家は1兆695億円の売り越しだった。新型NISAによる個人投資家の買いはまだ始まっていないにもかかわらず、株価は大きく上昇したことになる。

新型NISAの多くは、米国の株価指数である「S&P500」や、世界中の株式に投資する「オールカントリー」といったETF銘柄に投資されている。新型NISAによる日本株はまだ始まっていないのが現実だ。

そもそも日本の個人投資家は「最高値で買って最安値で売る」と揶揄されるなど、その投資スキルは決して高いものではない。「投資信託の回転売買」といった証券会社によるブレーキもあったものの、個人投資家は株や投資信託で安定した収益を上げている人は少ない。

しかしここ数年の間に、金融庁や証券取引所による投資家本位のマーケットを目指すようになり、金融環境は大きく変化を遂げている。遠い目で見れば、新型NISAが日本株上昇の原動力になる可能性はあると言うことだ。

Next: タイミングを間違えると大損?新型NISAを使うときのポイント

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー