モノタロウ<3064>は成長性の高い企業(グレートグロース)として市場から人気があります。なぜここまで成長しているのか、この成長はどこまで続いていくのか、考えてみたいと思います。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
株価下落も高PER
モノタロウは「間接材」専門のオンラインストアです。
現場作業のものに特化していて、顧客は職人さんや企業が中心です。
業績は見事に右肩上がりで、年あたりの売上高の成長率が10年平均で20%と、とんでもない数字です。
ROEも28%で、平均が8~10%と考えると相当高い水準です。
これほど成長している企業はなかなかありません。
しかし、目先では株価が下落しています。
株価はピークの約半分にまで値下がりしています。
なぜ株価下落?3つの要因
下落の要因としては以下が考えられます。
<理由その1:高PERの調整>
コロナ禍では、成長性のある企業はどんどん買われました。
モノタロウも、2020年12月には121倍というPERを記録しています。
実際に需要が伸びたということもありますが、これは業績などとは関係なくファンダメンタルズの面で上がり続けていた側面があります。
そうやって上がり続けた調整として株価が下がりました。
金利が上がると高いPERを支えられなくなるので株価が下がるという相場要因もあります。
<理由その2:成長鈍化懸念>
PERは平均で15倍程度と言われる中で、38倍という数字はいまだに高い水準です。
この成長性が鈍化することが懸念されています。
売上高の成長率は、10年平均だと年あたり20%ですが、トレンドを見ると下がってきています。
年20%の成長をずっと続けることは不可能ですが、この成長率が0に向かって下がり続けるのか、10~20%のところで一旦納まるのかというところに注目です。
<理由その3:2024年問題>
細かい問題としては、2024年に働き方改革関連法の施行によって運送費がかなり上がってしまうことがあります。
モノタロウは配送料無料を謳っていて、モノタロウ側のコストが上がってしまう可能性があります。
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