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ソウルは火の海?米韓日と北朝鮮もし戦わば~ストラトフォー最新予測=高島康司

「ストラトフォー」が予測する北朝鮮の反撃

前回メルマガの記事では「ストラトフォー」による米軍の北朝鮮攻撃のシミュレーションを見た。韓国と日本の米軍基地から飛び立ったB-2ステルス爆撃機やF-22攻撃機の部隊、そして潜水艦から発射される巡航ミサイルによる空爆で、北朝鮮国内にある核関連施設やミサイル発射施設などを一気に破壊してしまうというものであった。

この攻撃に対する北朝鮮の反撃は、どのようなものになるのだろうか?

「ソウルは火の海にはなる」は本当か?

日本では北朝鮮の攻撃が始まると、北朝鮮のミサイルと戦闘機が一斉にソウルを攻撃し、ソウルは焼け野原となって廃墟と化すと喧伝されている。下手をすると核がソウルに打ち込まれないとも限らない。

しかし「ストラトフォー」の評価では、そのような大規模な反撃の可能性は比較的に低いという。それというのも、北朝鮮が反撃すると、米韓合同軍に北朝鮮の攻撃拠点の位置が明らかになってしまうため、攻撃拠点のほとんどは最初の反撃の後徹底して破壊されてしまうからだ。したがって、反撃が有効なのは最初の一回だけであり、ソウルの被害もそれだけ限定的になる可能性が高い。

しかし、それでもそれなりの被害は覚悟しなければならない。北朝鮮の反撃は以下の手段で実施される。

火砲による砲撃

北朝鮮は相当な数の火砲を保有し激しい砲撃が可能である。これは韓国にとって脅威となることは間違いない。北朝鮮は韓国国境にかなりの数の砲台を準備している。

だが、そのうち実際にソウルに射程が届くものは「コクサン170ミリ自走砲」、ならびに「240ミリと300ミリ多弾頭ロケットシステム」の2つだけである。これらでも北朝鮮国境からソウルの中心街に着弾することは不可能で、せいぜい被害はソウル北部の郊外に限定される。

北朝鮮はこの他にかなりの数の火砲があるが、それらは時代遅れであり、射程も相当に短い。北朝鮮国境からソウルには到達できない。また、これらの古い火砲の不発率はかなり高く、「ストラトフォー」の調査では25%にも及ぶ。最近、火砲の近代化が図られているものの、それでも不発率は15%程度とされている。

このような状況を見ると、火砲による反撃がソウルに壊滅的な被害をもたらすとは思われない。しかし、ソウルの被害が限定的なものにとどまったとしても、防空壕への市民の避難など、大規模な準備は必要になるはずだ。

ミサイル攻撃

北朝鮮は「ワソン」「ノドン」「テポドン」の3種類の移動式ミサイルを約1000発保有している。これらのミサイルの射程距離は長く、ソウルを含め韓国のどの地域も射程に入る。しかし、最近の「ノドン」の発射実験失敗から分かる通り、これらのミサイルは決して安定していない。一度でも発射に失敗すれば、米韓合同軍の反撃の対象となり、壊滅させられる。

Next: VXガス、サリン等の化学兵器による攻撃/北朝鮮破壊工作部隊

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