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ソウルは火の海?米韓日と北朝鮮もし戦わば~ストラトフォー最新予測=高島康司

北朝鮮サイバー攻撃部隊

北朝鮮のサイバー攻撃部隊の存在はよく知られている。この部隊の過去の攻撃記録を分析すると、無意味なデータを大量にサーバに送って停止させる「DDoS」攻撃が一般的な手段になっている。しかしこの攻撃方法は比較的に原始的なサイバー攻撃で、サーバを一時的に停止させる能力しかない。

他方、北朝鮮は「ダークソウル」と呼ばれるトロージャン型の強力なスパイウエアを持ち、インフラシステムをクラッキングすることができる。2013年、このスパイウエアを介して韓国の金融機関のシステムがクラッキングされ、一時的に停止した事件があった。これは確実に脅威となることは間違いない。

しかし、戦争状態でこうしたクラッキングの有効性は疑問である。スパイウエアを介したクラッキングでは、ターゲットとなるインフラやサーバに関する情報を時間をかけて収集し、サーバの動作を把握しなければならない。戦闘状態ではこうした情報を収集する時間はほとんどないので、クラッキングがどこまで成功するかは分からない。

北朝鮮軍の反撃は限定的だが日本にも被害?

以上の分析から明らかなように、北朝鮮軍の反撃は限定的であり、軍のすべての能力を使用することはできない。しかし、それでも北の反撃は韓国に甚大な被害を与えることになる。多くの民間人の人命が失われ、韓国経済は長期にわたって低迷することだろう。

また、日本も攻撃対象となり被害が出るはずだ。

では北朝鮮との戦争は現実になるだろうか?非常に近い将来、北朝鮮は核弾頭を搭載できる大陸間弾道弾の開発に成功してしまい、戦争を先延ばしにすると将来もっと悲惨な核戦争が起こる危険性が増す。この核戦争を回避したいのであれば、攻撃のタイミングは今しかない。

だが、北朝鮮はこの状況をよく承知しているため、自分から攻撃の引き金を引くことはないであろう。時間を引き伸ばして、その間に実戦で使用可能な核兵器の開発を完了させるつもりのはずだ。攻撃の口実は作らないだろう。

他方、アメリカも選挙の年であり、オバマ大統領も「北朝鮮攻撃を失敗させた大統領」として歴史に名を残したくないはずだ。北朝鮮攻撃が失敗するリスクがあるうちは攻撃に慎重にならならざるを得ない。

したがって、いつ攻撃が行われるかは断定できない。しかし、攻撃のタイミングを逸すると将来の核戦争の危険性が高まるので、アメリカとしても攻撃するとしたら今しかないのではないか。

Next: 「ストラトフォー」は凡百のシンクタンクではない――

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