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ソウルは火の海?米韓日と北朝鮮もし戦わば~ストラトフォー最新予測=高島康司

「VXガス」「サリン」等の化学兵器による攻撃

北朝鮮は2500から5000発の化学兵器の弾頭を保有している。これらは「VXガス」と「サリン」だ。しかし、化学兵器の劣化のスピードは早く、現在保有している弾頭は相当に劣化し、使いものになる水準ではないと思われる。

また、これら化学兵器の弾頭を搭載可能なミサイルの数は非常に少なく、化学弾頭の約1%程度しか発射する能力がない。

このように見ると、北朝鮮の化学兵器は実践的な兵器というよりも、韓国に与える心理的な影響のほうが大きいと見て間違いない。

一方、北朝鮮の生物兵器は開発が始まったばかりだ。まだ、実戦配備できる状況にはない。

特殊部隊と破壊工作部隊による攻撃

北朝鮮の反撃の中心となり、もっとも効果的なのは特殊部隊と破壊工作部隊を用いた攻撃だ。長い間北朝鮮は韓国との軍事的な非対称性を認識しており、そのギャップを埋めるために、トンネル、潜水艇、アントノフAn-2のようなスパイ機などを用いた破壊工作活動を強化してきた。

攻撃が始まると、北朝鮮はこれらを使って韓国の中心的なインフラを破壊する恐れがある。それは韓国にとって大きな打撃となろう。また、韓国軍は特殊部隊の撃滅に兵力を集中することから、北朝鮮の主力部隊の攻撃に対して手薄となろう。

さらに北朝鮮の特殊部隊は、韓国軍の制服を着用して侵入し、韓国軍同士の同士討ちを誘導するだろう。

北朝鮮空軍

北朝鮮は800機の戦闘機を保有している。しかしながらこれらの戦闘機はあまりに時代遅れであり、またスペアパーツの不足とパイロットの訓練不足から使いものになる水準ではない。したがって、空軍の脅威は限定的となろう。

それでも大量の戦闘機でソウル攻撃に向かい、そのうちの数機はソウルまで到達する可能性はあるが、ほとんどが撃墜されてしまうだろう。

また北朝鮮は、無人機を使った攻撃にも力を入れているようだが、無人機も完成度が低く、米韓合同軍の防空網を突破することは実質的に不可能だ。

北朝鮮海軍

北朝鮮海軍は魚雷艇やミサイル艦など小規模の艦艇を保有しているが、やはり空軍と同じく時代遅れの兵器だ。しかしそれでも、米韓の海軍に対してヒットアンドランの攻撃は実施可能だ。だが米韓合同軍の反撃が強まるにしたがい、これらの艦艇は一掃されるだろう。したがって、北朝鮮海軍の脅威も限定的なものにとどまる。

海軍でもっとも大きな脅威となるのは、北朝鮮の潜水艦部隊である。北朝鮮海軍は70隻のディーゼルエンジンの比較的に小型の潜水艦を保有している。ただ、こうした潜水艦は遠洋航海には向いておらず、活動範囲は朝鮮半島の沿岸部に限定される。したがって、むしろ潜水艦の攻撃対象となるのは商船になるだろう。活動範囲は日本海も含まれる。

北朝鮮潜水艦部隊は長期の隠密任務を遂行することが可能だ。だから、戦闘が終了しても長期間にわたって商船の脅威となる可能性がある。

Next: 北朝鮮サイバー攻撃部隊はどう動くか/日本にも被害?

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