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初心者が養分に…「仕手株」を持っていたらどうすべき?さくらインターネット、住石ホールディングス、三井E&Sの具体例で解説=栫井駿介

仕手株の条件

なぜこれらの銘柄の株価が上がるのかというと、そこには仕手株の特徴があり、その特徴に合致していたことがあります。

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<さくらインターネットの場合>

昔からインターネットのサーバー貸しなどをやっていたので、ある程度知られた企業ではありますが、業績としては、悪いわけではないが良いわけでもないというところでした。

ところが2023年11月の末に、さくらインターネットが政府の使うクラウドシステムの業者として採用されたという大きなニュースが入ってきました。
これまではAmazonやMicrosoftなど外資の大きいところしか採用されていなかったところにこのさくらインターネットが採用されたことで、そういった対象になり得るという気づきを与えました。
さらにさくらインターネットは、単にクラウドに採用されただけにとどまらず、今後AIに大きく投資していくことを自ら発信していきました。

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出典:さくらインターネット

今、株の世界では、「生成AI」「NVIDIA」「GPU」というところが盛り上がっていて、それをIRに出すと、市場のテーマになりやすくなります。
政府に採用されたことと、この発信によって、株価が一気に勢いづきました。

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出典:株探

ここで大事になってくるのが、それまでほとんど取引がされていなかったことです。
株価がほとんど動かない状態が続いていて、株式を持っている人もほとんどいませんでした。
そこに、大きなニュースが急に入ってきて、買いたい人がたくさんいるのに売りたい人がいないという状況になり、需給バランスが一気に崩れて株価が急上昇しました。

そこに、いわゆる”仕手筋”と呼ばれる、短期の上昇に乗っかる人たちが入ってきて、買いが買いを呼び、株価がどんどんつり上がっていったという経緯があります。

今回のさくらインターネットの急騰は、とにかくテーマが大きかったことが要因としてあると思います。

政府に採用されたところに、生成AI、NVIDIA、GPUというテーマがなだれ込んできて、株価上昇を呼びやすい環境を作り出したといえます。

穿った見方をすれば、さくらインターネットの株価が上がると大株主で社長でもある田中邦裕氏の資産が増えることになるので、このタイミングでプレスリリースを出したのではないかとも思えます。

いずれにしても、PER278倍というものは到底支えられるものではありませんし、足元の業績を見ても、第3四半期までの累計の業績は減益となっています。
これから拡張などのために投資をするという話ではありますが、NVIDIAのGPUのように、さくらインターネットだけが提供して利益を独占できるようなものであれば、今は投資フェーズでその後大きく伸びていくことも考えられますが、要はサーバーを作っているだけで、GPU自体は高いお金を払って買わなければならない立場です。
優位性があるわけでもなく、これから業績が伸びていくとは考えにくいです。

既に株価は落ち始めていて、ストップ安になりました。
これはもう仕手株としては”終わっている”状態で、仕手筋の人たちはもう売り抜けていて、出遅れた人たちも少しでも早く売ろうと考えていると思われます。

<住石ホールディングスの場合>

仕手株になる条件として、【割安】【大きなテーマ】【情報が少ない】という点が大きな肝になります。

住石ホールディングスの場合も同様で、まずとにかく割安だということがありました。
石炭は元々人気のないエネルギー源だったところにロシアのウクライナ侵攻が起こり、急にヨーロッパで石炭が必要になり、石炭価格が上がりました。

仕手株になり得る銘柄の特徴として、上方修正が連続して入るということもあります。
石炭価格は読めないもので、四半期ごとに予想を出しても石炭価格が上がればさらに業績が上がるということも起こります。
実際に住石ホールディングスは次々に上方修正がされていました。

そこに加わってきたのが大きなテーマです。

住石ホールディングスの場合の大きなテーマというのが株主構成です。

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出典:株探

三井松島HDへの投資で大きな利益を得た有名投資家である井村俊哉氏が第4位の株主となっていて、さらに買い増しています。
実績のある有名人が買っているから大丈夫だろうと、買いを誘いやすいテーマになっています。

さらに買いを増やしている企業として(株)麻生があります。
麻生太郎自民党副総裁の会社です。
国のトップになるような人の会社が住石ホールディングスをどんどん買い増しているということで、様々な思惑を呼び、株価が上昇しています。

また、住石ホールディングスについて公で語られるような機会はほぼ無く、情報が少ないです。
思惑を否定するような情報も出てこないので、思惑が膨らんでいき、特に初心者は釣られやすいのです。

さらに、小型で、流動性が低く、元々持っている人が少ないので、新たに出てくる人は買いたい人しかおらず、どんどん株価が上がっていきます。

割安で、株価水準が低く、出来高もない、誰も注目していないような銘柄は、仕手筋の人が集まりやすく、同じような状況が度々訪れます。
過去のチャートでも、大きく上がってすぐ下がる動きを繰り返しています。

今回の住石ホールディングスの上昇は過去に例を見ないほど大きいですが、その行く末は結局同じような水準に戻るのではないかということは目に見えています。

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