日本の「肥満株」大阪ソーダってどんな企業?
そこで注目したいのは、大阪の化学メーカー、大阪ソーダです。ざっくり説明すると、汎用性の高い化学製品を生産しています。この会社が、肥満薬や糖尿病治療薬を作る際に必要な材料を生産しているのです。
大阪ソーダは1915年創業の歴史ある企業です。
売上は拡大していないものの、利益は伸びています。
出典:決算短信より作成
もう少し業績を細かく見てみましょう。
これまで業績を引っ張ってきたのは、機能化学品セグメントです。
出典:決算短信より作成
機能化学品は、汎用性が高い化学品に付加価値をつけている事業です。
基礎科学品事業で基礎的な化学品を顧客に販売すると同時に、自社で加工し機能化学品事業で高付加価値商品として加工・販売しています。その機能化学品から独立したのが、肥満薬の原料を作っているヘルスケア事業です。
では、このヘルスケア事業を深掘りしてみましょう!
肥満薬精製材料「シリカゲル」の世界シェアは60%
大阪ソーダは肥満ビジネスで成長を加速する予定です。昨期まで機能化学品セグメントの一環だった医薬品事業を「ヘルスケア」として独立させています。それだけ成長の確度が高いと言えるでしょう。
出典:23年3月期決算説明資料
また、この記事の前半で述べた肥満薬需要の増加に対応するために、生産能力の拡大を急いでいます。2030年にはヘルスケア事業の売上を23年度比で2倍にする目標を打ち出しています。
出典:23年3月期決算説明資料
この中で、大阪ソーダの主力商品の1つが「シリカゲル」という化学品です。
このシリカゲルという医薬品精製材料は、医薬品製造時の不純物を取り除く精製工程で使用され、肥満薬や糖尿病治療薬のインスリンの生産時に用いられます。そして糖尿病患者も世界的に増加する見込みです(そもそも肥満と糖尿病は相関性があるかもしれません)。
出典:糖尿病ネットワーク
大阪ソーダの医薬品精製材料の市場シェアは約60%です。
この高いシェアの理由は、そもそもこの化学品の技術的難易度が高く、他者に模倣されにくいためです。さらに、基礎化学品が国内トップシェアであること、その化学品を活かして高付加価値商品を作成できる技術力があることです。
このヘルスケア事業の製品は、分析用途から精製用途まで幅広く製品を提供しており、用途の異なるシリカゲルを同一製法で製造していることから、顧客の研究開発から生産段階までカバーできることが、大阪ソーダの高いシェアの源泉と言えるでしょう。
そして目先の業績は、利益を最も稼いでいるのはヘルスケア事業です。前年同期比営業利益成長率は13%です。工場の増設などのプラスの影響があるので、伸びる余地があるかもしれません。
出典:24年3月期2Q 決算説明資料より作成
これが、超成長市場の関連事業として、高いシェアを持つ大阪ソーダの魅力です。
需要が伸びる肥満薬とともに成長していく未来が想像できます。
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