今回は投資アイデアの1つ、急速に市場が拡大する「肥満薬」銘柄の大阪ソーダ<4046>について考えます。肥満薬の製造に成功した米国企業では、株価が3年で約4倍に成長したケースも。その肥満薬の製造過程で必要になるシリカゲルを作っている会社ということで、大阪ソーダも注目されています。大阪ソーダとはどんな企業か、投資すべきか?などについて解説していきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
肥満は世界中で増加している
今、特に日本の株式市場を引っ張っているのは「半導体銘柄」です。
あえてそれ以外の話題を取り上げるならば、私は「肥満薬」に注目しています。
「お腹まわりは気になるけど、株式市場を引っ張るほどではないのでは?」
確かにそう感じるのも当然です。その理由は、日本は肥満率が世界最低水準だからです。海外旅行に行くとアメリカンサイズの方に驚くことがあるでしょう。
出典:OECD
実は、この肥満率が世界的に増加しています。特に肥満率首位のアメリカは、2030年には人口に占める肥満率が45%を超える見込みです。また、岡三証券の調査では2035年には世界の成人の二人に一人が肥満になるようです。
出典:OECD
この増え続ける肥満患者に対して、ビジネスチャンスがあるのです。今回は、代表的な肥満関連銘柄を紹介します!
凄まじい「肥満株」時価総額の伸び
代表的な会社はアメリカの大手医薬品メーカー、イーライリリーと、デンマークの同業であるノボ・ノルディクスです。
2社の時価総額は、ヘルスケア関連大手のジョンソン&ジョンソンや、コロナワクチンを開発したファイザーやアストラゼネカを大きく上回っています。
出典:株探より作成(21年時点の時価総額は筆者の手計算)
2021年6月、ノボ・ノルディクスの肥満治療薬「ウゴービ」が米食品医薬局(FDA)に承認されました。2年遅れて23年の12月にイーライリリーの肥満治療薬「ゼップバウンド」が販売されるようになりました。
現状、ウゴービとゼップバウンドが肥満治療薬のブロックバスターとなっています。
ブロックバスターとは元々は一発で街の一区画を破壊するほど強力な爆弾の呼称です。これが転じて医薬品業界では「画期的な効能を持ち、開発費を圧倒的に上回る利益を生み出す新薬」という意味で使われます。
言ってしまえば「競合がほとんどいない、めちゃくちゃ儲かる薬」です。これを持っている製薬メーカーは大きく利益を伸ばすことになります。
大きな転機は、糖尿病治療薬が肥満治療薬として適用が拡大され始めたことです。上記医薬品は日本においても保険が適用されるようになり、より身近な存在となりました。
日本の企業では、大正製薬HDが脂肪の吸収を抑えて肥満の改善を助ける「アライ(一般名オルリスタット)」を4月8日に売り出すと発表しています。
しかし、同社はMBO(経営陣が参加する買収)によって上場廃止が決定しています。これでは今から投資する意味はありません。
では、日本の企業で肥満薬の恩恵を受ける企業はないのでしょうか?