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こんな株は買ってはいけない。誰でも「ダメ企業」と見抜ける業績・財務・株価・事業内容の特徴とは=栫井駿介

ダメな企業の「事業内容」

事業内容の見極めはなかなか難しいところがありますが、「これはダメだ」と思えるところもあります。

<M&Aや投資が異常に多い>

主にM&Aの話になりますが、上場したての企業で、上場したもののその後の成長が全く続かないことがあります。
そういう企業は、またM&Aをして企業を買えば買った企業の売り上げや利益が業績上は乗っかることになるので、一見成長しているように見えます。
しかし、実のところはただの切り貼りでしかなく、小さい企業をくっつけてなんとかやりくりしているというケースが珍しくありません。

 

悪い企業ではなくても、M&Aには注意が必要で、例えばエムスリーも優秀な企業であることは間違いないのですが、今は海外で成長しようとどんどんM&Aをしています。
しかし、やはりM&Aは毎回成功するわけではなく、成功確率は3割とも言われていて、買えば買うほどよくわからないものが増えていったり、買ったものが将来的に損失になってしまう(のれん)ケースもあります。

M&Aを繰り返す企業はどんどん判断が難しくなってしまいます。

<主力事業がコロコロ変わる>

M&Aを繰り返してなんとか繋いでいるような企業は、事業セグメントの名前がコロコロ変わったりしています。
軸が無く、なんとか業績を作っているだけの企業になっています。

具体的に企業を挙げることははばかられますが、思い当たる企業があれば気にしてみると良いと思います。

<一発で終わるリスク>

これは外部環境の変化によるものが大きいですが、例えば三陽商会は日本でバーバリーのブランド運営を引き受けていました。
しかし、バーバリーは日本でのライセンスを終了してしまい、バーバリーに依存していた三陽商会はやはり一時的にかなり苦しい状況になってしまいました。(今はなんとか盛り返しているところもあります)

こうなる前の段階で、契約が無くなったら危ないということが分かっていれば、そのリスクをあえて取りに行く必要はないということになります。

 

外部環境の話をするなら、例えばマンションデベロッパーなども結構難しく、リーマンショックの時にはマンションデベロッパーの会社が次々に潰れていきました。
なぜなら、マンションデベロッパーというビジネスモデルが外部環境の変化に弱いのです。
マンションを建設して、マンションが売れている売れている時は利益が出るのですが、リーマンショックのようなことが起きてマンションが売れなくなると一気に資金繰りが危うくなります。
こういうマンションデベロッパーは営業キャッシュ・フローがマイナスになっているケースが多く、お金を払って新たなマンションを建てているので、利益は出ているけどお金は入ってきていない状況だったりします。
お金が入ってこないので、銀行から借入を行うことになりますが、リーマンショックでマンションが売れなくなると、銀行もマンションが売れないのであれば信用できないということでお金を貸してくれなくなります。
そうなるとお金が無くなって倒産ということになります。

一見調子が良くても、リーマンショックのような外部環境の変化が起こると一気に苦しくなる業種であるということは理解しておく必要があります。

個人的には航空会社もかなりリスキーだと思います。
911やコロナのようなことがあると、飛行機が突然飛ばなくなったりします。
今回のコロナの時には財政支援も受けられて生き残ることができましたが、それが無かったらJALもANAも潰れてしまっていたのではないかと思います。

投資をするなら、「この企業は何が起きたらヤバいか」ということを一度は考えるべきだと思います。起こる確率は低いものの起きたらヤバいリスク(テールリスク)のことも考えましょう。

(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)


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image by: alexkich / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2024年4月9日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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