「EV」8つの弱点とはなにか?
EVの欠点と言われているのは次のようなものです。
- 充電ステーションが少なくて充電できない
- 航続距離が短い
- 火力発電でつくった電気で走ってもエコじゃない
- 充電に時間がかかる
- 寒冷地では出力が落ちて使い物にならない
- 自然発火をする恐れがあるので危険
- バッテリーが劣化をしてエコじゃない
- 製造とリサイクルの過程で大量の二酸化炭素を排出するのでエコじゃない
EVにはこのような問題があるのは事実ですが、EV先進国(もはやそう言っていいかと思います)である中国では、すでにこのような課題に対して克服されつつあります。簡単に言えば、「EVはオワコン」とおっしゃっている方は、5年くらい前のEVの状況に基づいて「EVは使えない」と判断してしまっています。
では、中国ではどのように克服をしているのでしょうか。今回は、中国EVで、どのような技術や工夫が行われているのかをご紹介します。
まず初めにEVの販売量について見ておきましょう。年単位の推移を見るのであれば、国際エネルギー機関(IEA)の「Global EV Data Explorer」が便利です。世界各国のEV販売量のデータが閲覧できます。

EVの販売数データ。青はBEV(純EV)、緑はPHEV(プラグインハイブリッド)。左上から右に、世界、中国、EU、米国。出典:Global EV Data Explorer
年単位で見れば、規模の違いはあっても、どの国であっても順調に伸びています。懸念をされているのはEUと米国です。EUは補助金制度が中断をしている国が多いため2024年の販売数については不安視をされています。また、米国はドナルド・トランプ氏が大統領になると、EUが主導するEV戦略には否定的であるため、EVの普及が止まるのではないかと不安視されています。
中国汽車工業協会の統計では、中国の新エネルギー車(EV、PHEVなど)の販売数は順調に伸びています。
補助金や政府の戦略により、山や谷はあるものの、EVが普及傾向にあるのは間違いありません。EUの場合は、2035年までに100%ゼロエミッション(二酸化炭素排出ゼロ)を達成することを目標にしています。ハイブリッドはもちろん、プラグインハイブリッド(PHEV)も販売禁止になります。最近、内燃機関車の販売を認めるようになり、目標を後退させたと言われていますが、この内燃機関車はガソリンやディーゼルではなく、合成燃料などで二酸化炭素を排出しない内燃機関車のことです。水素自動車などが該当をします。つまり、ゼロエミッションというゴールは動かしていません。
EVの欠点を克服していく中国
中国や米国の多くの州では、「ゼロまたは低エミッション車を50%以上」にして、ハイブリッドの販売までは禁止しません。ただし、中国は燃料車は販売禁止、米国は燃料車もOKという違いがあります。これは両国の国土が広く、砂漠のような場所でEVなどのゼロエミッション車を強制すると命に関わるからです。
日本の場合は、ハイブリッドも含めて「電動車」と呼び、ガソリン/ディーゼルなどの燃料車の販売を禁止にします。おそらく今の状況だと、ハイブリッドが7割か8割という状況になるのではないでしょうか。ゼロエミッションを目指すつもりはないようです。日本は、世界でも特異なハイブリッド自動車が主流の国になりそうです。では、EVの欠点を中国はどう克服しているのでしょうか。
1)充電ステーションが少なくて充電できない
中国では約176万カ所の充電ステーションを整備しています。2025年には400万箇所を超える計画です。充電ステーションの数は、とどのつまりはやるかやらないかです。EVを普及させたいのであれば、インフラに先行投資をするしかありません。
中国の大都市では充電ステーションが足りないという問題はほぼ解消されましたが、地方都市で想定以上のEVが普及をし、地方の充電ステーションが足りないという問題が起きています。しかし、数年で解消することになるでしょう。
2)航続距離が短い
これももうほとんどガソリン車と遜色はなくなっています。2024年3月に、スマートフォンなどを開発している小米(シャオミ)の自動車「SU7」( https://www.xiaomiev.com/su7)がいよいよ発表になりました。
標準版の価格は21.59万元(約450万円)です。円安が続いているため高く感じるかもしれませんが、中国では一般的な中堅クラスの乗用車の価格であり、その価格で、ちょっと高級で自動運転に対応したEVが手に入るということで人気になりそうです。
このSU7の航続距離は700kmで、これも中堅EVとしては標準的です。ガソリン車のタンクは50?から60?程度で、実際の燃費は15km/?程度ですから、EVもガソリン車の航続距離にほぼ追いついて――
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『
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』(2024年4月8日号)より一部抜粋
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