投資チャンスはあるのか?
ここまでをまとめます。
ラクスルは、非効率な印刷業界においてインターネットを活用し、稼働していない印刷機に新たに印刷するビジネスチャンスを与えるベンチャー企業です。印刷依頼者に対しても、小ロットからの生産を受け付けるなどメリットがあります。
今後の成長戦略は、既存事業と親和性の高い企業を買収し、シナジーを産んで成長を促すことです。経営者がM&Aの経験が豊富であり、再現性が高い戦略と言えます。
市場全体は横ばいながらも、EC化率の観点では成長余地があります。競合他社は存在していますが、印刷会社の経営改善のアドバイスなど業界に深く入り込むことで差別化の要因となっています。
最後に株価の推移を見てみましょう。

ラクスル<4384> 週足(SBI証券提供)
2020年から2021年末にかけて大きく株価が上昇していますが、その後は下落しています。この期間に株価が上がった経緯は、赤字予想だったものが細かい業績修正によって黒字化するなど、短期的要因で上昇していたように見えます。その後も、上方修正や下方修正を繰り返しながら株価が変動していますが2021年から見ると右肩下がりです。業績は拡大しているだけに、一時的な市場の期待が高すぎた反動で、株価下落が起きている可能性が考えられます。
2024年6月13日現在のPERは約27倍です。利益の拡大に伴い十分に投資を検討できる水準まで落ち着きました。6月11日の決算は2024年7月期第3四半期決算でしたが、前年同期比で大幅増益となったことが好感されています。(売上+24% 営業利益+50%)四半期ごとの業績推移を見ても、今年は創業以来、最高の業績を更新し続けています。
出典:マネックス証券 四半期ごとの業績推移
この好調ぶりが目先の株価の反応(決算後+13%上昇)につながっていますが、利益成長の確度を考えるのであれば、今後も成長余地がありそうです。個人的にも、今後もチェックしていきたい企業の一つだと考えています。今回の分析があなたの投資判断の助けになれば幸いです。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取り扱いには十分留意してください。
『
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
』(2024年6月14日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。