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円安修正の成否は日銀のがんばり次第…為替介入の“実弾”はあと1発?弱い日本円に国民疲弊=斎藤満

戦力の逐次投入

それだけ今後の円安修正の成否は日銀の肩にかかっていることになります。しかし、日銀のこれまでのやり方から見ると、不安が募ります。日銀が円安を本気で修正しよう思えば、保有国債の大幅な縮小という「量的引き締め(QT)」や、金利の急速な、あるいは大幅な引き上げが「武器」となります。日銀は戦力となる武器をそれなりに持っています。

しかし、日銀はこれらの「戦力」を敵の退治に有効に使う意識がありません。これまでの日銀のやり方は「戦力の逐次投入」で、戦い方としては決して褒められたものではありません。

そもそも、金融政策手段をフルに活用して円安を修正する意識に欠けています。現に日銀幹部は「国際金融のトリレンマ」を引き合いに出し、金融政策の自由と資本移動の自由、為替の安定を同時に達成できないと言っています。

これは金融政策の自由を確保するのを優先するため、為替の安定は放棄せざるを得ない、ということになります。つまり、円安を本気で修正しようと考えておらず、むしろ日銀が使える武器、戦力を温存して将来に備えることに注力している分、円安修正は期待しにくくなっています。

今月末の決定会合で国債買い入れ額を多少減額し、追加利上げは9月に持ち越すとみられます。小出しに使っては効果も限られます。

稼げなくなった円の実力

ここまで円安が進んでしまった要因は、日米の金融政策格差だけではありません。日本が長年にわたって成長戦略を打てず、この30年間、自動車産業に代わるリーディング・インダストリーの育成に失敗したことも大きな要素になっています。

とりわけ、アベノミクスのもと、大規模緩和、円安という「ぬるま湯政策」を続けたために、日本企業は革新努力を怠り、輸出競争力を落としてきました。

かつてシングル・ハンデの腕前で大会のたびに優勝していた日本企業は、甘いハンデを与えられて長い間練習をさぼってきたため、ハンデ36でも勝てなくなりました。貿易赤字がこのところ定着しています。通貨の実力、信認が低下すれば、それを補うために高い金利というプレミアムを付ける必要があるのですが、日銀には円が弱くなったという自覚、円を防衛するという意識がなく、弱い通貨に金利を付けずに放置しています。

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