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優待&配当で利回り6.5%「ヤマダHD」株は買いか?長期投資家が見るべきリスクと成長性=佐々木悠

住宅領域へ事業拡大

ヤマダHDの創業者でありCEOの山田昇氏はこの状況に危機感を覚えていました。この問題を解決するために、新しい領域の事業を手がけて売上拡大に挑みます。

そのキーワードとなるのが「くらしまるごと」戦略です。
具体的には家電と親和性の高い住宅や家具・インテリア、リフォームなど、衣食住の中の「住」に的を絞った事業戦略です。

この領域を拡大するため2011年ごろから、M&Aを使いながら事業拡大を行なっています。

住宅関連取り組み
2011年 住宅メーカー  エス・バイエルを買収
2012年 住宅機器メーカー ハウステックを買収
2016年 ヤマダファイナンスサービスを設立
2016年 ヤマダウッドハウス設立
2018年 ヤマダホームズ設立
2019年 大塚家具を買収

出典:有価証券報告書より作成

家電量販店は競合他社と同じ製品を販売しているため製品の差別化が基本的にはできません。だからこそ、商品の品揃えが肝心なのです。
そこで、家電と親和性が高いキッチンやバス、トイレといった住宅機器が置かれていたり、リフォームの相談ができるようなお店であることは、差別化に繋がりそうです。

 

こういった背景があり、2021年にヤマダHDはセグメントを変更しました。(従来はセグメント区分なし)
現在は4つのセグメントがあります。

  • デンキ:家電の販売とフォーム、家具・インテリア等住まいに関する商品販売
  • 住建:戸建て住宅を中心とした住宅販売及びバスやキッチン等の製造販売
  • 金融:新築、リフォーム、資金決済、保険商品などの金融関連サービス
  • 環境:家電やPCのリサイクル・再資源化事業の展開

しかし、セグメントごとの利益の内訳を見ると、稼ぎ頭はデンキ事業です。多角化を進め利益はでているものの、まだ売上に対する貢献度は高くはありません。

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出典:SPEEDAより作成

さらに細かい売上の内訳を見ると、売上の73%が家電・情報家電によるものです。

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出典:決算説明資料

まとめると、家電事業の市場縮小に対し、住宅領域への事業を拡大しているが、まだ住宅関連による売上貢献度は高くない。こういった現状が読み取れます。

ヤマダHDはこの現状からどう成長していくのでしょうか?

Next: 今後の成長戦略は?長期投資家にとってヤマダHDは買いか売りか

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