今後の成長戦略
2021年から2025年3月期にかけての中期経営計画では主に4つの方向性が示されています。それは「店舗開発の積極的促進」「Eコマースの強化促進」「SPA商品の積極的開発」「各事業会社別 課題の目標設定」です。
それぞれについてざっくり説明すると、以下のようになります。
1.店舗開発の積極的推進
→年間5%の増床を掲げた店舗開発の積極的推進は、売上拡大の鍵となる重点施策
2.Eコマースの強化推進
→Webとリアル店舗を融合させた取り組みを推進。実店舗からの販売・配送・設置に至る一連のサービスに加え、ECサイトで販売した商品出荷および宅配を担う拠点とすることで、取り扱う家電はヤマダデンキの都市型店舗並みの充実した品ぞろえを実現する
3.SPA商品の積極的開発
→利益率の向上に向けた施策。大型店舗化を進めることで商材の品ぞろえをさらに拡充できる可能性が高まるため、リーズナブルで魅力あるSPA商品の開発を並行して進めていく
4.各事業会社別 課題の目標設定
→デンキ・住建・金融・環境・その他の各セグメントが互いのシナジーを意識しながら“つながる経営”を実践し、継続した増収増益体制を構築。今後は住宅ローンなどを介した金融セグメントとのシナジーの発揮が課題
この戦略を見ると、「くらしまるごと」と言いながらも、最大のリソースの投入先はデンキ事業(ヤマダデンキやLABI、それに関連するEC)であることがわかります。
そして、中計発表当初の損益計画では今期25年3月期には売上高2兆円、経常利益1,300億円を目指していました。
出典:ヤマダホールディングス 中期経営計画
しかし、ヤマダHDが発表している中期経営計画最終年である今期の決算予想は売上高1兆6,650億円、経常利益532億円ですから、想定よりも苦戦していると言えるでしょう。
ここからは個人的な意見ですが、住宅事業に足を伸ばしたとしても、国内の新築住宅着工件数は緩やかに縮小していく見込みです。リフォーム需要はあるかもしれませんが、家電の市場縮小に本質的な問題解決策になっているか?と考えるとやや疑問です。
ただし、家電業界におけるEC市場規模は拡大しており、年々EC化率は高まっています。戦略の中でもEC強化が挙げられていました。
出典:【2023年版】家電EC業界のEC化率が今後も伸びる3つの理由
家電業界におけるEC売上高はヨドバシがトップですが、ヤマダも良い位置につけています。いかにECとリアル店舗の間でシナジーを生むかが、今後の成長の鍵の1つになりそうです。
最後に、配当金と株主優待について見てみましょう。
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