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“飲めるハンバーグ”人気番組「旅サラダ」での紹介直後にO-157による食中毒が発覚。客が鉄板皿で十分に加熱しないまま食べたのが原因か

千葉県船橋市にある「飲めるハンバーグ」なるメニューが人気だった飲食店で、O-157による食中毒が発生したという報道が波紋を呼んでいるようだ。

食中毒が出たのは船橋市内にある飲食店「将泰庵DINER」で、同市の保健所によれば、牛肉のハンバーグなどを食べた4グループ14人中7人(男性2人、女性5人)が下痢や腹痛、血便などの症状を訴えたとのこと。そのうち7歳から20代までの男女5人が、入院しているという。

発症者の便からは、腸管出血性大腸菌O-157が検出され、保健所は同店の食事が原因の食中毒と断定。同店を8日まで3日間の営業停止処分としたという。

SNS上からは「いつかやらかすと…」との声が多数

千葉県内を中心に焼肉店やしゃぶしゃぶ店、さらには肉バルなど複数の業態を展開している将泰庵グループ。

そんな同グループの目玉メニューとなっていたのが、今回取沙汰されている飲めるハンバーグで、なんでも国産黒毛和牛を2度挽きすることで、とろけるような柔らかい食感が実現したといい、それゆえ“飲める”というネーミングが付いているよう。

同メニューは、過去に行われたいわゆる“肉フェス”イベントにおいて1万2000食を完売したこともあるということで、店舗での提供だけでなく通信販売のほうも精力的に展開するなど、全国的にも知名度が高かったということである。

いっぽうで、将泰庵の各店舗ではこのメニューを提供する際、まずハンバーグの表面を軽く焼いたあと、6~8分煮込んだうえに、高温に熱した鉄板に乗せて提供しているということで、客に対しては鉄板の上で3分間焼いてから食べるよう案内していたという。

仮にハンバーグがO-157に汚染されている状態であっても、このように高温の鉄板の上で数分加熱すれば、菌は死滅して感染のリスクはなくなるということだが、今回はどうやらこれをいわゆる生焼けの状態で食べた客がいたのでは……というのが、保健所側の見立てのようなのだ。

O-157による食中毒といえば、あまりにも有名なのが2011年に発生した「焼肉酒家えびす」でのユッケ集団食中毒事件。5人が死亡、24人が重症となったこの出来事をきっかけに、生食用牛肉の処理に関する基準が厳格化され、さらには牛生レバーの提供が禁止されるなど、いわゆる生肉を食べることのリスクが叫ばれることに。

しかしその反面でハンバーグに関しては、いわゆる“生ハンバーグ”とも呼ばれる、中身が半生状態で供されるものが、近年広く人気になっている状況だ。

その代表格といえるのが、静岡の人気ローカルチェーン・さわやかで供される「げんこつハンバーグ」だが、同店の場合は食品安全に関する国際規格であるISO22000の取得など、日頃から厳格な品質管理を行っているうえに、客に供する前にハンバーグを半分に割って鉄板皿で中に火を入れることで、十分な加熱をしている。

ところが、この“生ハンバーグ”のブームに乗っかって、その手のメニューの供するところの多くは、さわやかほどの徹底した品質管理は行われていないうえに、最終的な火入れも不十分のところが多い状況。現に今回の件でも、先述した“鉄板の上で3分間焼いてから食べる”ということが、客側に十分伝えきれていなかったようなのだ。

それだけに、巷からは「いつかやらかすと思ったんだよ…」といった声が多くあがるなど、起こるべくして起こった事態だと捉える向きが多いようで、そのいっぽうでこの手の“生ハンバーグ”の提供には、今後はさわやかのように国際規格の取得を条件にするなど、厳格な条件が必要なのでは……といった声もあがっている状況だ。

スタジオで神田正輝や長濱ねるらが実食

いっぽうで、今回の報道を受けて一部からあがっていたのが「旅サラダで取り上げられてた店じゃん」といった声。

通信販売も行われている飲めるハンバーグは、以前よりテレビ番組などで紹介される機会が度々あったということなのだが、実は今月7日には大阪の朝日放送テレビが制作し、全国放映されている旅番組「朝だ!生です旅サラダ」において、船橋市内にある「肉の匠 将泰庵 船橋本店 新館」が取り上げられ、飲めるハンバーグも紹介されていたというのだ。

今回食中毒が発生した店舗とテレビで紹介された店舗は、同じ将泰庵グループではあるが別店舗ということで、食中毒の報道もその時点ではなかったことから、そのまま放映されたと思われるのだが、ちなみに船橋市保健所が食中毒発生による3日間の営業停止処分を下したのは今月6日ということで、営業停止期間のちょうど最中に全国ネットの人気番組に露出することに。

しかもこの飲めるハンバーグだが、スタジオでは司会の神田正輝さんやゲストの長濱ねるさんらも試食していたといい、さらにはご当地名産の梨とともに視聴者プレゼントになっていたということで、SNS上からは「どうするんだ?」といった声もあがっているところだ。

ちなみに今のところ、今回の件に関して朝日放送テレビからの表立った反応は無い状況だが、同社が運営する番組連動のお取り寄せサイト「旅サラダマルシェ」からは、飲めるハンバーグの紹介ページは削除された模様。朝日放送テレビ側としては、あたかももらい事故のような、なんとも間の悪すぎる事態となってしまったようだ。

Next: 「生肉有り難がる風潮って所詮は…」

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