それだけに、新米の供給で足元のコメ不足が解消されても、需要の先食いは年後半のコメ不足につながります。
コメは追加生産、増産とはいきません。来年のコメ不足には備蓄米の供給で対応できたとしても、備蓄米の補填も必要になり、減反政策を早めに停止して、コメの増産余地を確保しておく必要があります。
コメ価格高がインフレ加速
もう1つ問題があります。それは消費生活の中で大きなウエイトを占めるコメの価格が大幅に上昇し、これが物価全体を押し上げることです。
この8月は23年米が品薄で前年比17%高となりました。さらにスーパーでの新米の価格はこれまで5キロ2,000円前後だったのが、新米では3,000円に上がって消費者が躊躇する場面をテレビが報道していました。
日本の消費者物価においては、その26%余りを食料品が占めています。食料の価格上昇が全体の物価高に直結します。特にコメなどの「穀物」のウエイトは全体の2%を占めています。これにコメを原料とする酒や煎餅、米粉などもコメ価格の影響を受けます。
政府はエネルギー価格に敏感で、電気ガスやガソリン価格を抑制するための補助金を出して価格高を抑制しています。電気ガスの消費者物価に占める割合は5%です。電気ガス代を10%下げると物価全体を0.5%下げますが、コメが50%上昇すると、波及効果込みで物価全体を1%近く押し上げる可能性があります。
物価高対策として電気ガス代を3か月抑制する策も、コメの上昇で消されてしまいます。
25年米から増産が必要
今のコメ価格急騰はコメの需要を冷やす面がありますが、インバウンド消費を含めてみれば、コメ需要が増える可能性があり、24年米の不足露呈は時間の問題となります。
25年米の生産がよほど増えないと、政府の備蓄米放出ではコメ不足は解消しません。問題の先送りで次は25年のコメ不足が予想されるからです。






