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1年で株価6倍「フジクラ」さらに上がる?“生成AI恩恵銘柄”の爆発力を長期投資家はどう見るべきか=栫井駿介

この記事で取り上げる銘柄はフジクラ<5803>です。“電線御三家”とも言われる会社で、電線の会社なのですが、今業績が非常に大きく伸びています。その大きな理由としてはデータセンターの建設があります。データセンターが盛り上がっているのは生成AIの隆盛によるものですが、フジクラがどのようにしてこの生成AIの恩恵を受けて業績を伸ばしているのか、また、生成AI、データセンターの世界が今どのように動いているのかをお伝えしたいと思います。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

1年で6倍!

まずフジクラの株価を見てみましょう。

フジクラ<5803> 日足(SBI証券提供)

フジクラ<5803> 日足(SBI証券提供)

1年前は1,000円くらいだったものが今は6,000円と6倍にもなっています。

なぜこれほど上がっているかというとやはり業績が良いからです。
営業利益の推移は、コロナ禍の2020年3月期は33億円で赤字スレスレ(最終赤字)でしたが、2021年3月期は240億円、2022年3月期は380億円、2023年3月期には700億円となり、2024年3月期は横ばいの700億円の予想でしたが、8月・11月の決算で業績予想を上方修正し、営業利益は1,000億円を超えるという話です。
営業利益700億円でも過去最高だったのですが、それがさらに50%くらい上昇するということで、株価としても反応するのは当然と言えます。

ここ数年で利益が3~4倍になっていて、株価が6倍ということなので、バブル的に上がっているわけではなく、業績の上昇を織り込んでの株価の上昇ということになります。

データセンター需要

改めて、フジクラはどんな会社なのでしょうか。

電線も今も作っていて、車のワイヤーハーネスなども作っていますが、特に大きな柱となっているのが光ファイバーです。
フジクラは光ファイバーの世界シェアで第2位となっています。

ただ、光ファイバー自体に大きな差はなく、世界シェア2位とはいえ光ファイバーだけで大きな利益を出せるわけでは必ずしもありません。

しかし、光ファイバーの周辺機器もやっていて、光ファイバー関係のものを総合的に売って利益を稼いでいる会社ということになります。

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出典:フジクラ

融着接続機はフジクラが開発したもので、高いシェアを持っています。

これまでも光通信は発達してきて、それを軸に事業を進めてきたわけですが、ここに来てなぜこれほど業績が伸びているかというと、生成AIが関係してきます。

「生成AI」というと、ソフトウェアの話かと思ってしまうかもしれませんが、ソフトウェアを動かすためには必ずハードウェア(実体としてのモノ)を動かす必要があります。
つまり半導体です。
半導体を動かすことによって情報が処理できるわけです。

生成AIという技術はものすごく大量の情報を処理しなければならず、それが半導体の増大につながります。

半導体を組み立てたコンピュータがスマートフォンやPCになりますが、生成AIを今メインで動かしているのがサーバーです。
データ量が膨大になるということは、大量のサーバーが必要になるということです。

クラウドのサーバーは工場のような巨大な建物の中に詰め込まれていて、この巨大なデータセンターがどんどん作られている状況です。

クラウドの二大巨頭がAmazonとMicrosoftなのですが、本社のあるアメリカにデータセンターを置いておきたいということと、政治的な安全保障の問題、建設できる土地も多いということから、データセンターの数はアメリカが圧倒的に多くなっています。

フジクラの業績もそれを反映していて、売上高の7割は海外ですが、その中でもアメリカが全体の37.3%を占めています。
その推移を見ても、近年アメリカでの売上が急伸し、日本を逆転しました。
アメリカにも当然光ファイバーを提供する会社があるはずですが、全く足りずにフジクラの手も借りたいということで伸びているのだと思われます。

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出典:フジクラ 事業説明会資料

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出典:フジクラ 事業説明会資料

フジクラの製品は、データセンターをつなぐケーブルなどにも使われますし、データセンターの中にも使われることになります。
いろいろな部品もあるので、データセンターを新しく作るとなれば、たくさん納入してたくさん稼ぐということになります。

世の中のデータ量はまだまだ増え続けると考えられ、それに合わせてデータセンターも作り続けるしかありません。

そう考えると、フジクラの業績もまだ伸びるのではないかと思えます。
株価は先々の業績の成長まで織り込んでいるので、業績が伸びるからといって株価がどこまで反応するかは分かりませんが、ただそれにしてはPER27倍とそれほど高くはありません。

もちろん、生成AIが今後もしかしたら幻滅期のようなものを迎えるかもしれませんし、現時点ではマネタイズはできていないように見えます。
ただ、短中期的な観点ではフジクラに投資するのも面白いと思います。
もし今持っているのであれば、更なる上昇を見込んでも良いかもしれません。

同じ“電線御三家”に古河電工と住友電工がありますが、データセンターという観点で見るとやはりフジクラが最も恩恵を受けるでしょう。

Next: 「生成AI恩恵銘柄」ほかには?長期投資家が注目すべきは…

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