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「どこが和久井映見?」「FXの借金で債務整理しても働けるって…」三菱UFJ銀行“貸金庫窃盗”元行員逮捕でSNS上を駆け巡った3つの衝撃

三菱UFJ銀行の元行員が貸金庫から十数億円相当の金品を盗んでいた問題で、警視庁は46歳の元行員の女を窃盗の疑いで逮捕。その手口や犯行に至る背景が徐々に明らかとなっている。

報道によれば逮捕された今村由香理容疑者は、去年9月頃に当時勤めていた東京の練馬支店の貸金庫で、男性客2人が預けていた金塊およそ20キロ、およそ2億6000万円相当を盗んだ疑いがもたれているとのこと。

容疑者は当時、支店長代理を務め、貸金庫の管理責任者だったといい、これまでの任意の調べで「投資に使った」などと話しているという。

さらに三菱UFJ銀行によれば、今村容疑者は2020年4月から去年10月の間にかけ、勤務していた練馬支店と玉川支店で、およそ60人の顧客の貸金庫から十数億円相当の金品を盗んでいた疑いがあるとのこと。容疑者は被害の発覚を遅らせるため、他の客の金庫から現金を一時的に補填するなどの“工作”を行っていたという。

雑な隠蔽工作でも犯行が4年半露見せず

銀行員が貸金庫から十数億円相当を盗むという、金額の多さもさることながら、銀行への信頼感も失墜しかねないといった重大な事件にも関わらず、昨年11月の発覚以降、容疑者がなかなか逮捕されず、その事への憤りの声も一部からはあがっていた今回の件。

一部では“和久井映見似女性行員”などと報じるメディアもあり、その存在のミステリアスさに拍車をかける格好となっていたのだが、いざ逮捕された容疑者はというと、そんな和久井映見さんとはとても似つかぬ風貌。そのため巷では「和久井映見に謝罪しろ」「和久井映見さんは文春を訴えた方がいいと思う」との声が噴出し、一時は「和久井映見」などのワードがトレンド入りする事態となったようだ。

このことはある意味で、この事件への注目度がいかほど高いかが伺える事象だとも言えそうなのだが、そのいっぽうで今回の逮捕とともに詳らかになっているのが、容疑者が犯行の隠蔽のために行っていたという数々の“工作”。

なんでも、銀行側が顧客の貸金庫を開ける際に使うスペアキーは、封筒に入れられた状態で管理されていたのだが、容疑者は金品を盗んだ後に、スペアキーを元あった封筒に戻した上で、再度のり付けしていたといい、容疑者は「あとでチェックされると思い、封をはがすときにも丁寧にやっていた」と供述しているとのこと。

また容疑者は、金品を盗んだ貸金庫の中に他の顧客の金品などを入れて“補填”する手口で、貸金庫利用者をだまくらかしていたようなのだが、時に利用者が想定外のタイミングで銀行に訪れた際には、部屋に入るためのシステムを意図的に切断したうえで「故障している」などと言い、利用者が中に入れないようにしていたというのだ。

容疑者側とすれば、利用者の不意な来店に怯えつつもあたかもパズルのように金品をやりくりする、スリリングな日々だったようだが、とはいえその騙しの手口はいかにもローテクかつ雑といったところか。

ただ、容疑者はこれらの行為によって4年半にわたって盗みを繰り返し、その間は犯行が露見しなかったというのは紛れもない事実。そのためSNS上では「管理が杜撰すぎる」という批判が噴出しているわけだが、なかには「貸金庫というシステムそのものの信用問題になりますよね…」との声も。

現に、三菱UFJ以外の銀行でも同様の被害に遭ったといったも一部からは出ているようで、今回の事件は同行の不祥事に留まらず、貸金庫というサービスに対する不信感の広がりに繋がるのは必至といったところのようだ。

銀行側は容疑者の“官報掲載”を痛恨の見逃し?

そんななか今回の逮捕報道とともに、容疑者の人となりも明らかになっている状況なのだが、それに伴って“驚きの声”としてあがっているのが「民事再生を行った人間がなんで金融機関で働けるの?」というもの。

なんでも容疑者は、約15年前から競馬、さらにはFX取引を始めたものの負けが込んでしまい、負債が700万円以上にまで膨らんだため、民事再生手続きを申し立て、負債の減額などが認められたとのこと。しかし、その手続きの約1年後にFXを再開してしまったところ、今度はその損失が10億円以上にまで拡大。このことが、顧客の貸金庫の金品に手を付ける動機になったということなのだ。

いわゆる債務整理の方法としては自己破産や任意整理、さらに容疑者が行った民事再生(個人再生)があるが、民事再生は自己破産と同様に裁判所を介するという共通点があるものの、自己破産が借金“免除”なのに対し民事再生はあくまで“減額”に留まる。ただ、自己破産だと家やクルマといった高額資産は裁判所に回収される反面、民事再生はそれらを手元に残せる手段があるというといった違いがある。

一部メディアの報道によれば、容疑者の夫は都内に土地や豪邸など莫大な資産を所有しているということで、そういった事情も民事再生という方法を選択した理由だったと推測されるところだ。

いっぽうで多額の借金を抱えて、そういった債務整理を行ったがために、それが理由で解雇するということは、就業規則などで自己破産等が解雇事由と定められていない限りは不当解雇になるとのこと。とはいえ、そんな多額の借金持ちを、こともあろうか支店長代理や貸金庫の管理責任者などといった重要なポジションに据えるというのはどうなのか……といった疑問は残る。

もちろん容疑者も職場での評価・評判を考え、銀行側には黙って債務整理を行ったとみて間違いなさそうだが、とはいえ民事再生は自己破産と同じく、裁判所を介しての債務整理ということで、その事実が官報に掲載されるわけで、実際今回の容疑者のこともしっかりと載っていた模様。

ただ当の三菱UFJ側はというと、同行の頭取も問題発覚後の記者会見で「このようなことをする人間だったという評価は確認できていない」とコメントしていたように、容疑者がそういった問題を抱えているとは夢にも思っていなかった様子。顧客に対しては大いに活用するであろう官報情報だが、行員の“身体検査”には利用していなかったことが、今回の大失態に繋がってしまったと言えそうである。

Next: 「そんな悪い奴は銀行員にいないよ」

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