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米国株が独走、日本株は低迷。トランプ返り咲きで進む日米株価のデカップリング=斎藤満

トランプ政権を前に日米の株価が明暗を分けています。トランプ次期大統領の「米国第一主義」が株式市場でも米国の独り勝ちをもたらす半面、日本株などにはトランプ政策の不透明さが売り圧力となり、少なくとも株式市場では日米でデカップリングが進んでいます。(『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2025年1月20日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

トランプによる日米株価のデカップリング

トランプ政権を前に日米の株価が明暗を分けています。昨年7月にはまだ米国大統領選挙は「大接戦」と伝えられ、その中で日本株は7月11日に日経平均が4万2,000円を付けました。当時の米国株はダウが3万9,700ドルでした。

しかしその後トランプ氏が優勢に変わり、実際トランプ氏が再選されると、米国では「トランプ・トレード」が広がり、株価は最高値を更新して行きます。先週末のダウは4万3,487ドルに高まっていますが、日経平均は週末で3万8,451円に低下しています。この半年で米国のダウが4,000ドル近く上昇したのに対し、日経平均は4,000円近く下落しました。

NYダウ 日足(SBI証券提供)

NYダウ 日足(SBI証券提供)

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

トランプ次期大統領の「米国第一主義」が株式市場でも米国の独り勝ちをもたらす半面、日本株などにはトランプ政策の不透明さが売り圧力となり、少なくとも株式市場では日米でデカップリングが進んでいます。

外国歳入庁の異常さ

トランプ氏は先週14日に、外国からの関税収入などを扱う「外国歳入庁」の創設を打ち出しました。これまで米国の歳入を管理してきた内国歳入庁をしり目に、税収などは外国からとることを狙って、異例の外国歳入庁の創設をうたっています。これにはさすがにイエレン財務長官も異論を唱えています。

トランプ氏はこれまでに、米国の財政運営は外国からの関税収入をもとに行う方針を示し、米国と競合する中国からの輸入品には60%(さらに10%上乗せ)、カナダ、メキシコには25%、その他の国には10から20%の関税を課し、その収入で減税など財政政策を行う意向を示しています。

およそ財政政策の枠組を超えた異次元の発想です。

これは米国経済が世界最大の市場で、米国向け輸出が各国にとっては必要不可欠で、米国への輸出抜きでは経済が回らないとの前提に立っています。それゆえに強気の関税策を打ち出せます。ビジネスマン大統領ならではの発想です。弱小国ではありえない政策です。

米国の輸入額は年間約4兆ドル。これに25%の関税を掛ければ、関税収入は1兆ドル(155兆円)と、これだけで日本の年間税収の2倍が入ります。トランプ政権はこの関税収入を所得減税の延長や国内財政支出に充てることができ、米国は労せずして多くの税収を得、米国経済はそれだけ潤います。米国株にもプラスです。

Next: 日本や周辺国には迷惑千万。為替にもトランプ爆弾が…

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