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米国株が独走、日本株は低迷。トランプ返り咲きで進む日米株価のデカップリング=斎藤満

日本や周辺国には迷惑千万

その反面、日本や周辺国にはいい迷惑です。

日本の輸出は2023年で100兆円余り、このうち米国向けは約2割の20兆円余です。間もなく24年の数字が出ますが、それまでは23年のデータで話を進めます。20兆円の対米輸出に10%の関税が課せられれば、輸出企業は年間2兆円の関税を負担することになります。20%なら4兆円です。この対米輸出20兆円のうち、約7兆円が自動車及びその部品です。

従って、日本におけるトランプ関税の最大の被害者は自動車関連産業で、日本からの輸出7兆円に対して、7,000億ないし1兆4,000億円の関税が課せられます。それだけではありません。日本の自動車メーカーはメキシコに生産拠点を移し、ここで生産した自動車を米国に輸出しています。これが年間40万台程度と言います。

1台400万円と仮定すると、40万台分の関税25%で4,000億円となります。日本からの輸出分と合わせると1兆円から2兆円弱の関税負担となり、利益が吹き飛んでしまいます。日本の輸出は自動車を中心に大打撃を受けます。

トランプ氏がいつこの関税賦課を発表するのか不透明ですが、市場も次第に警戒の動きを見せるようになりましたが、まだほとんど織り込めていません。

ウクライナ戦争の24時間以内の終結や、米国の無駄な財政支出2兆ドル削減など、大言壮語したものの、その後大幅な修正伝票を切っています。従って、まだこの関税案が変わる可能性はありますが、早ければ大統領就任直後にも大統領令でこれを決めるリスクがあり、警戒が必要です。

トランプ大統領が就任早々にこれを打ち出すと、米国はともかく、世界の株式市場は混乱する懸念があり、23日・24日に開催を予定している日銀の決定会合では日銀が利上げを見送らざるを得なくなる可能性もあります。

トランプ氏がすぐに動かなければ、日銀の利上げは可能になりますが、「トランプ爆弾」を抱えているだけに、周辺国の株式市場は重苦しい動きが、そして日米株価のデカップリングが続きます。

為替にもトランプ爆弾

米国経済の運営を海外から税金を取って進めようという身勝手な案もさることながら、ドル高は米国産業にとって大惨事といってドル安誘導しようとすることも周辺国には「リスク」となります。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

欧州勢はトランプ氏に同調せず、かつての「プラザ合意」に参加しない可能性があるものの、米国にモノを言えない日本や韓国は逃げられない可能性があります。

Next: トランプ返り咲きで日本はどうなる?株式市場は爆弾を抱えて進むが…

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