ROEと株価の関係
栫井:利益が増えれば株価も上がるということはなんとなく分かるよね?
ユウ:そうですね。
栫井:実際にそうなので、ROEが上がることはそれ自体良いことなんだけど、ROEの数字自体が何を意味するのかというところを説明します。
資本100億円の会社のROEが10%だとすると、利益は翌年の資本に上乗せされるので、1年後には資本が110億円になります。
ユウ:10億円が足されているわけですね。
栫井:次がいくらになるかというと、110億円のさらに10%だから、11億円が足されることになり、121億円になります。同じように3年目には12.1億円を足すことになるので133.1億円…というように増えていきます。これがいわゆる“複利効果”です。
ユウ:倍率は変わらなくても元の額が上がるから増える額が上がるんですね。
栫井:これが株価にどうつながるかという話だけど、株価の評価方法はいろいろあるけど、一番シンプルなのはPBRかなと。簡単に言うと資本の数字で株価を評価しましょうというものです。資本が100億円あったらこの会社は100億円くらいの価値があるだろうという見方です。PBR1倍(資本=時価総額)が基本となって、これより低いと安すぎるということになります。この考え方だと、資本と株価が連動することになって、最初株価が100円だっだとすると1年目には110円、2年目には121円になるわけです。1年後には株価が10%上がるということで、この10%というのは…
ユウ:ROEですね!
栫井:端的に言うと、あなたが会社に投資したお金はROEの水準ずつ増えていくということになります。
ユウ:それは大事ですね!株がどれくらい増えるかというそのものを表してくれているわけですもんね。
栫井:現実には、特に短い期間ではこんなにROEと株価がマッチすることはないんだけど、これは時間が長くなればなるほどROEの水準と株価の水準は近づいてきます。だから、長期の投資ではROEが大事になります。
ROEは特定の年度の利益を使って算出するので、ある時利益がポンと高いと異常値みたいなものが出ることがあって、大事なことはROEがずっと高いまま維持されることです。そういう企業は高い利回りを安定して出し続けてくれるという安心感があります。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年1月28日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。