銀行株はまだ割安なのか?今後の投資判断のポイント
景気後退時に株価が下落したとしても、安定した3~4%の配当が入ってくるから良いと考える方もいるかもしれません。しかし、それも必ずしも当てにはならない可能性があります。
確かに、三井住友フィナンシャルグループなどは累進配当、つまり減配せずに増配を目指す方針を掲げています。しかし、これはあくまで方針であり、法的な根拠があるものではありません。
コロナ禍において明らかになったように、どんなに安定配当や累進配当を謳っている会社でも、通常と異なる経済状況になった場合には、減配することがあります。
三菱UFJフィナンシャル・グループは累進配当を特に謳っておらず、「利益成長を通じた一株当たり配当金の安定的な持続的増加を基本方針とする」としています。一方、みずほフィナンシャルグループも「累進的な配当を基本とし、自己株式取得は機動的に実施する」としていますが、「累進的」という表現はやや曖昧です。
いずれにしても、これらの配当に関する記述は目標に過ぎず、経済状況によっては取り下げられる可能性があることは理解しておくべきでしょう。現在の利回りが3%を超えているとしても、過度に期待するのは禁物です。
まとめ:長期投資の視点で見極める銀行株
相場には「小回り3ヶ月、大回り3年」という言葉もありますが、銀行株の上昇が始まってから約2年が経過しており、そろそろ一巡したと考えることもできます。
足元のトランプ関税による株価下落や、今後の景気後退リスク、金利上昇リスクなどを考慮すると、長期的な視点で今から銀行株へ投資することは慎重になるべきでしょう。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年4月15日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。