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コメ価格が2倍に高騰…なぜ備蓄米放出も止まらない? 背景に「農家が儲からない」構造=原彰宏

どうすれば農家が儲かる?

農家が儲かるということは、生産物(コメや野菜)が高く売れるということです。

市場におけるコメ価格が崩れることが、農家の収入の安定を妨げているというわけで、その市中価格を、国の主導のもと調整してきているのです。

かつては生産調整、具体的には減反政策を取っていました。

1970年頃から本格的に始まり、2018年度に廃止されるまで、約50年間実施されました。田んぼの面積を減らすことで米の生産量を減らしたり、米の代わりに、麦、大豆、飼料作物などを栽培することを奨励してきました。

減反や転作を行う農家に対しては、補助金が支給されました。

2018年度に廃止されてからは、政府は米の生産量の目安を示し、転作する農家への補助金も継続しているためコメの生産量を間接的にコントロールしています。
※参考:減反とは 廃止後もコメ生産量の減少続く – 日本経済新聞(2022年7月2日配信)

実際には、米の生産量は減少傾向にあり減反政策廃止後もコメの生産量は減少しています。

生産量自体を調整すること、ましてや水田を“潰して”しまう政策だと、いざコメ不足のときには迅速に対応できません。

日本全国の1年間のコメの消費量は、年々減ってきていて700万トンぐらいになっています。

備蓄米放出量は21万トンです。備蓄米全部を出すわけにはいきません。災害大国の日本ですからね。何が起きるかわからないですから。

なのに、市場価格の安定が減反政策などの生産調整だなんて…。

農家の生活を守るのは大事だが……

農家側も、補助金で生活ができています。補助金で生活できている間は積極的に後継者を育成する必要もありません。

補助金が、今の農家の生活を支えてはいますが、農業の未来を潰していると言っても過言ではありません。

農業に携わる若者が減り、自由な発想が生まれてこなければどうなるか。

この先農業の自由化が進み、海外から米が輸入されるようになった際に、日本の生産者が競争に負けてしまいかねません。

米農家を中心として、米に携わる人々の中から、こうした未来志向の考え方が生まれにくい情勢を作ってしまったと言えるでしょう。

・農家の収益を守るための減反政策
・農業の経営所得安定対策制度

いずれも農家を守るもので、非正規労働者やフリーター、中小の商店主など世の中にたくさんいる経済的弱者の人たちへの所得補償という制度が出されたことは、いまだかつてありません。

しかし農家にだけは、平日は会社勤めで週末だけ農業に従事する兼業農家に対しても、所得確保のための交付金が税金から支払われるのです。

農村の貧困を克服しようという思いからでもあるのでしょうが、うがった見方かもしれませんが、自民党の絶大な票田を守るためではないでしょうか。

農村部選挙区の国会議員が、TPPに“反対”表明するのも理解できますね…。

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