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神戸大学大学院経済学研究科の岩壷健太郎教授は、金融経済学の専門家として、長年にわたり個人投資家の行動特性や市場との相互作用を研究してきました。今回は、そんな岩壷教授に「行動バイアス」がFXトレードに与える影響とその克服法について詳しく話を伺いました。教授の研究成果から見えてきた、驚きの実態と実践的な改善のヒントとは――。
聞き手:鹿内武蔵 / 本文:諸田裕己
(『外国為替』vol.1より改変)
岩壷健太郎氏プロフィール
神戸大学大学院経済学研究科教授。早稲田大学政治経済学部卒業、東京大学経済学研究科修士課程修了、UCLA博士課程修了(Ph.D.)。富士総合研究所、一橋大学経済研究所専任講師を経て、2013年より現職。財務省財務総合政策研究所特別研究官、金融先物取引業協会学術アドバイザー、日本経営財務研究学会評議員を兼務。為替、株式、国債、コモディティの各分野で論文多数。【書籍】『コモディティ市場のマイクロストラクチャー』『グローバル・インバランスの経済分析』その他、論文多数
FXの研究と業界支援の両輪で見えてきた「実態」
─岩壷先生は、金融・為替分野の研究を専門とされながら、金融先物取引業協会(以下、協会)にも関わっていらっしゃいます。
岩壷「2011年に協会から学術アドバイザーとしての依頼を受けたのが、日本のFX業界と関わるきっかけでした。協会は、金融庁と同様にFX業者を監督・規制する立場ですが、例えば2018年のレバレッジ規制(最大10倍)をめぐっては、業界と行政の橋渡しとして、調整役も担っています。
協会からは『FXの社会的評価を高めたい』という要望があり、私は投資教育や情報発信の面でアドバイスを行ってきました。よく『FXで儲かってる人は1割で、9割が負ける』といった極端なイメージが流布されていますが、実際の取引データに基づけばそれは誇張されています。
協会ではOTC市場の取引履歴をもとに、四半期ごとに顧客ベースでどのぐらいの割合の人が損しているのか、儲かっているのかを公式HPで公開してます。マーケット環境が良ければ5割以上が利益を出す場合もあり、悪化しても3〜4割の投資家が収益を上げていることが分かっています。こうした実態を可視化することは、業界の健全化に寄与していると考えています」
─ご自身の研究成果を協会に提供されていますが、なかでもトレーダーにとって有益な研究結果などを教えてください。
岩壷「研究の結果からは、多くのことが分かっています。トレードの保有期間と投資パフォーマンスの関係を調査したところ、明確な傾向が見られました。保有期間が長い投資家ほど平均的に成績が良く、短期になるほど成績が悪化する傾向が出たのです。
具体的には、取引が完結するまでの保有期間ごとに、スキャルピング(1時間未満)、デイトレード(1日以内)、スイング(1週間以内)、長期(それ以上)の4つに分類し、どのグループが一番儲かっているのかを調べたところ、長期トレーダーになるほど投資パフォーマンスが良くなっていき、平均的にレバレッジの高いスキャルパーのグループが最も悪い結果でした。
保有期間が短いほど平均的なリターンが悪くなるデータが出たことは、FX業界でも注目されましたが、発表後には『スキャルパーも儲かってるよ』とSNS界隈で多くの反論が出ました。そこで、より深く掘り下げるために機械学習を用いた分析も行いました。これまでの統計方法は、意識的に分けた4グループからの平均的な姿を見ただけでしたが、機械学習を使うと恣意的ではない方法でグループを分類することができます。その結果、短期のトレーダーたちも、一般のスキャルパーと大きな利益を出しているスキャルパーの二つのグループに分かれました。レバレッジは高いけど、しっかり儲かってるスキャルパーがいる一方で、大多数のスキャルパーが利益を出せず平均を下げていたために、従来のグループ分類ではパフォーマンスが悪い結果であったことが分かりました」
─短期トレードの難易度はなぜそこまで高いのでしょうか?
岩壷「スキャルピングが難しい理由は大きく三つあります。第一に、ルール通りのトレードが心理的に難しいこと。第二に、ルールを逸脱した場合の損失が即座に大きくなること。第三に、そのような判断を何度も求められる点です。そして、負けが続いたときに、次の負けを恐れてルール通りできない人が多いからだと思います。優位性のあるルールでトレードしていたとしても、勝率が下がるときもあります。本来、すぐに損切りすべきはずだったポジションから損失が膨らんでいき、トータルでは儲かっていない人がスキャルパーに多いのです。
皆さん短期トレードが好きですし、初心者は早く儲けたい欲望がすごく強いので、最初の選択肢にスキャルピングを選ぶ人が圧倒的に多いのでしょう。しかし、レバレッジを抑えながらリスクヘッジするスイングトレードから学んで、そこからスキャルピングに挑戦する方が成功に近づきやすいと思います」
─トレード回数が増えるほど取引コストが増大します。その点でも短期は不利ですね。1日10回のトレードをする人と月1回だけの人では、約200倍のコスト差がつきます。
岩壷「ルールの遵守が難しい方には、自動売買の導入も一つの選択肢になります。ただし、自動売買は機械的な判断が中心になるため、裁量判断の方が優れる場面もあるという点は忘れてはいけません」

source: 外国為替
行動バイアスこそが「勝てない理由」の本質
─先生の研究では、成功するためには行動バイアスをなくすことが重要だと指摘されています。
岩壷「行動バイアスとは、投資家が無意識のうちに取ってしまう非合理な行動のことを指します。なかでも顕著なのが『気質効果』です。これは、含み損のある人は損切りをためらいがちになり、含み益がある人はすぐに利確してしまう傾向のことです。投資家なら一度は経験があるのではないでしょうか。
協会を通じて、FX業者と連携した大規模調査も行いました。この研究では、FX業者の顧客からアンケートをとり、その回答者の中から取引データを利用する許諾を得て、アンケート結果と取引データをリンクさせた分析ができました。アンケートでは投資経験、保有期間やファンダメンタルズ・テクニカル分析の有無、情報収集の方法だけでなく、経済学で有名な行動バイアスに関するテストなどもしています。取引データだけでは、いつ、いくらで売買したのか、時間とそのときの価格や数量だけですが、そのデータとトレーダーの性格や選好、行動バイアスという個人的な資質を関連付けることで有意義な研究となっています。
この調査の結果、投資戦略や取引行動の改善よりも、行動バイアスを認知し修正することの方が投資パフォーマンスの向上には重要ということが分かりました。特に行動バイアスの中でも、気質効果や相対的な自己評価が高い『自信過剰』の傾向が強い人ほど投資パフォーマンスが悪かったです。これは投資戦略や取引行動の差異による投資パフォーマンスの悪さと比較しても、広範囲の人に当てはまり顕著であったことから、行動バイアスを認知して修正する方がより投資パフォーマンスが改善されて勝てるようになるはずです」
─トレード手法よりも、まず自分の内面を整えることが先決ということですね。
岩壷「まさにその通りです。別の研究では、『人は大損するとリスクを高めるのか? 大儲けするとリスクを高めるのか?』というテーマの研究もあります。損失や利益を出した後、その次の取引ではどれぐらいリスクを取るのかをテーマにした研究です。
中長期のFX投資家の日次パフォーマンスを調査した結果、損失や利益を確定したかどうかで次の取引に対するリスクテイクの度合いが変わっていました。資金に対して比較的大きな含み損や含み益がある場合は、これからもっと良くなるというポジティブな期待を持ってリスクを取る結果となった一方で、一度損失や利益を確定すると、次の取引ではどちらの場合でもレバレッジを低くしてリスクを取らない取引になる傾向が強くなっています」
─短期売買はその感情の起伏がより激しく表れそうですね。
岩壷「その通りです。私見ではありますが、スキャルピングの難易度を下げる手段として、『エントリーは裁量、決済は機械任せ』という手法は有効だと考えています。エントリーの段階では含み損・含み益がない状態ですから、行動バイアスの影響を最小限に抑えられるためです」
─最後に読者へ向けて、FXで長期的に成功を収めるために必要な条件についてお聞かせください。
岩壷「最も重要なのは、再現性のある勝ちパターンを確立することです。そして、そのパターンを機械のように徹底して実行すること。短期間で大きく儲けようとするのではなく、コツコツと積み上げる姿勢が、結果として1億円に届く最短距離になるでしょう。
特に兼業トレーダーの方は、取引できる時間が限られています。そのため、苦手な相場環境や、無理にエントリーすべきでない局面でもトレードしてしまうリスクが高まります。むしろ『待つ』という判断ができる投資家の方が、長期的には成績が安定します。初心者の方や投資スキルを完全には確立していない方にこそ、コツコツ稼ぐことを目指してもらいたいです。」
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