ドル円「10ヵ月線-13%」のアノマリー
10ヵ月線マイナス13%なら100円という目安だ。先に言っていた、半値押しの数字100円に近い。 1ドル100円というのは防衛ラインとしても意識される。
- 95年4月79円台は10カ月移動平均乖離:-12.9%
- 98年10月136円台→113円台へ:-13.4%
- 2008年のリーマン前3月104円台→95円へ:-11.5%
- リーマンショック後2008年12月95円台→87円台:-11.4%
と、パニック的な動きは-11%~-13%で止まっている。
1ドル100円となったら――2013年5月当時のレベルはどうだったか?果たして日経平均は13,500円~15,900円台であった。
7月利上げの可能性は低い
米国の利上げの見通しについては、米国経済が劇的に改善されたという指標が出なければ7月利上げはない。
実勢悪は時間をかけて消化してゆく。 英国のEU離脱の実務には2年を要するから、直ちに世界経済にマイナス影響を与えるわけではない。 が、金融市場は不透明を嫌う。 2年間は不透明の時代が来る。「大底」はその先かもしれない。
現在、英国で事業を営む日本企業は1千社以上。 英語が通ずるという利便性、治安、生活面の良さに加え、最も重要なことはアングロサクソンの目を通して欧州を見ることで培われた日本の欧州観だった。人口で地球上の2割弱を占めるインドもそうであろう。
日本企業は減益含みだが
日本企業は1ドルを105~110円で想定していたから減益になろう。 また金融機関の財政悪化にもつながる。 実勢悪を織り込み始めるまでは「大底」はない。
「これから暗い時代が来るのか」という読者もおられるが、次なる大相場を生む為の大底に向かうには時期尚早であるにしても、昨年6月で終わった大相場は二黒土星(じこくどせい)の年に母なる大地に帰り、しかも今年は既報で述べてきた通り「9」の年だ。 次の大相場を懐胎する年が近づく可能性を思えば、新たなスタートが近いという年になろう。
冬来たりなば春遠からじ、である。
先週24日、夜の番組で外交評論家の岡本行夫氏が「英国初の911事件だ」「悪い方向へ歯車が回り出した」と言っていた。こういう比喩が出るときは、「夜明け前が最も暗い」を思い出したい。
が、NYダウが高値で止まっている。とは言え75日線を割り込んだから先行き良くない。NYダウがもう少々下がってくれないと日本株の底も見えない。
先々週は比較的長期スタンスで投資するアジア勢が7カ月ぶりに買い越しに転じた。中国系の政府系ファンドが多いという。彼らは欧米よりは少ないが長期視点で割安を買い、下がるとナンピンする傾向がある。短期の欧米勢とは違う。
先々週の15,400円割れからの戻りは力強さに欠け、悪材料出尽くしの観はとてもないということは先週号(1)で述べた。
が、こういう推計がある。
英国の離脱で株安・債券価格上昇→GPIFなどの運用内容の債券株式の資産構成の比率の修正が必要になる→それを修正するために株式購入の必要が出る→GPIFで買い需要が約12兆円~13兆円と推計される。
その資金が動くし、すでにリスク回避のために換金していた資金が買い戻しに動くから大きな下げはない、というものだ。
24日夜、直ちにG7蔵相・中銀総裁の電話会議があった。 充分な流通性を担保すること、為替の「無秩序な動き」に対しては必要な対応をする(介入するぞの意)との声明文が出た。
今回は米ルー財務長官もケチをつけなかった。ポンドやユーロの逃げ場として、自国通貨高があるかもしれないからというのはミエミエだ。ルーは自国の国益のためなら何でもやる、米国を代表するような男だった。